第13章 “運命の車輪”(ホウィール・オブ・フォーチュン)
(承太郎のスタープラチナでも、この四輪駆動の重さを支えられるほどのパワーはあるとは限らない…!いや、もし支えられる自信があるなら、彼はとっくにスタンドを出しているはず…!)
支えられるパワーを持つスタンドがここにいないなら、衝撃に備えるしかない…!
「待て!ここの崖はいつ落石があってもおかしくないくらい、険しいッ!自ら乗り出して外に出れば、落石にあって即死するやもしれん!危険じゃァ!」
そんなことを言っている場合じゃあない。私の安否などどうでもいい。
そう思い、ジョセフの警告を無視して外に乗り出したが、花京院が止めた。
「いやその必要はない。もっといい方法が、ある!『“法皇の緑”(ハイエロファント・グリーン)』」
花京院はスタンドを上空に向けて放った。
(花京院くん…!まさか、この重さを耐える気…!)
「やめろッ。おまえのハイエロファントはこの重量をささえるパワーはないッ!体がちぎれて飛ぶぞ!」
ジョセフはまたもや声を上げたが、花京院は逆に静かに諭した。
「ジョースターさん。お言葉ですが、ぼくは自分を知っている。バカではありません」
ガチャリ ビィーン
花京院は予め、車に備えてあった頑丈なワイヤーをスタンドに掴ませており、それを崖の上にいる敵の車とつなぎ合わせた。
結果、間一髪車は叩きつれられることなく、ぶら下がる状態になり、宙に浮いた。
「グッ!」
落下を止めた衝撃で重圧感を覚える。
「おおッ!この車のワイヤーをウィンチをつかんで飛んでいたのか!」
そう言うジョセフは、幼い少女であるアンに危害が加わらないよう庇っている。
(さすが花京院くん。汎用性高ッ)
由来は花京院にとても感心を抱いていた。
あの一瞬でここまで機転を効かせるとは。やはり“力”(パワー)がないからこその知恵を持つスタンド使い。
(私の防御型スタンドとは違うタイプのサポート型のスタンドだ。あのDIOが仲間に引き入れたほどの実力者だと、今になって実感した)
そして承太郎もまた感心を抱いていた。
「フン!やるな…花京院。ところでおまえ、相撲好きか?」