第13章 “運命の車輪”(ホウィール・オブ・フォーチュン)
(花京院くんの言う通り、確かに、変だな)
予め地図を暗記していた由来も同じことを考えていた。
(だけど、たとえポルナレフさんが怒りのあまり道を間違えたとしても、人気がいなければ好都合。無関係の人間を巻き込まずに済むならな……)
由来はポジティブに考えることにした。
「野郎ッ!あそこの…次のカーブでぜったいにとらえてやるぜッ!」
ギャオン
「あっ!」
カーブ先は桟橋がかかった崖しかなかった。
「ば…ばかなッ!行き止まりだッ!」
ポルナレフは急ブレーキをかけ、崖を前にギリギリ止まった。
「やつがいないッ!や…やつはどこだ!?カーブをまがったとたん、消えやがった?車じゃ吊り橋は渡れないし……まさか墜落していったんじゃあねーだろうなー」
車の中の誰もが窓ガラス越しの外を見渡したが、車はおろか敵らしき姿もどこにもない。
(どういうことだ?ハリーポッターのように飛んだわけもないだろうに……)
まあもっとも、もし相手がスタンド使いなら、魔法のような空飛ぶ車もあり得なくはないが。
ドオォ~~ン
すると後ろの方から強い衝撃が加わった。何かが四輪駆動の後ろにぶつかったのだ。
由来含めた全員が後ろを確認した。
何と自分たちの車に衝撃を与えていたのは、さっきのイカレたドライバーの車だった。
『なにィィ~~ィーッ』
ド~ン
「や…やつだッ!やつが
・・・
うしろからブッかって来たッ!し…信じられん。一本道だぞ。どうやって、我々のうしろに回り込んだんだッ!」
ポルナレフはギアを変えてバックをしたが、相手のボロ車の方がパワーは上だった。
「もっ…ものすげー馬力でおして来やがるッ。つ…突き落とされるぞッ!せ…戦車かッ!その車のパワーはッ!。おっ…押し返せねえッ!」
押されてしまい、崖との距離がじわじわ縮まる。
由来は相手の車をエンジンごと凍らせようと、“白の陰影”(ホワイトシャドウ)を出したが、寸前で止めた。
(ダメだ…!私たちの車を押されていて密着している状態では、一緒に凍ってしまう。私のホワイトシャドウは全てを巻き込んでしまう。精密動作性はない…!)
そもそも“敵”(DIO)は、私を捕まえるんじゃあなかったのか…?!