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白夜に輝く一番星《ジョジョの奇妙な冒険》

第13章 “運命の車輪”(ホウィール・オブ・フォーチュン)



「由来さん。目、本当に大丈夫なの?」

「ん?うん。そのうち治るよきっと」

そんな風にごまかして笑う。

ジョセフ達とは少し離れた場所で、由来とアンは隣り合わせで立っていた。

由来は常に警戒の目を怠らず、アンの周りをずっと見渡した。

右目がふさがれているため、以前より首を大振りにしなければならないのが、少し大変に思えた。

「……ねえ。今聞くようなことじゃないとは思うけど、少し気になることがあって…」

「何?」

アンは改まって由来に聞いてみることにした。

己より背の高い由来を見上げて、頭についているペンダントを指さした。

「そのペンダントの中にあった写真の人…承太郎と……」

アンは首に違和感を覚えた。気付いたら、首を軽く触れられていた。

顔を恐る恐る上げると、見たことのない彼女の顔があった。

「え…由来さ……」

今までに感じたことのない見えない恐怖に震えて、声がうまく出せない。

なぜなら、見たことない由来の顔を目の当たりにしているからだ。

口数は少なくとも、声も表情も優しく、謙虚さを兼ね備える彼女ではない。

蛇が獲物相手に睨んでいるような、本能的な表情をしていた。

後ろに下がろうとしても、首を優しく掴まれているためできない。

ゾワッ

「え!?あ、あの…由来さ……」

「おい由来。何している?」

異変に気付いた承太郎が近付いて由来に声をかけた。

「……すまない」

由来はアンを離した。

「どうした?顔色が悪いぞ」

「……何でもない」

由来は承太郎と顔も合わせず、これ以上表情を読まれないよう、顔を俯かせた。

「何の話をしていた?」

承太郎はアンに事情を聞いた。

「それが……」

しかし、由来の寂しそうな背中が目に入り、反射的に嘘を付いた。

「く、首に!そう!首に蚊がついて!取ってくれたの!由来さんが…」

「……ならいいが」

承太郎はこれ以上言及することをやめた。

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