第13章 “運命の車輪”(ホウィール・オブ・フォーチュン)
(しかし、もし敵スタンドなら厄介だ……今の私は右目が使えなくなって間もないから、戦い方に慣れていない)
しかも“ハンデ”(アン)もあるとなると…
今すぐSW財団のヘリを頼んで送ってもらうか。
いや、敵の襲撃の可能性がある今、空を移動するのは危険だ。
となるとやはり、私達が守りながら近くの飛行場まで送るしかないか。
皆だけじゃない。“私の力”を使って……
「由来。これが、承太郎が言ってたお前の真の力というやつか?」
「!」
そうだ。承太郎以外のジョースターさん達が見るのは初めてかと思い、由来は頷いた。
「守りに特化したスタンドか。トラックの衝撃を受けても傷一つない。何という力じゃ」
評論家のようにスラスラと言い始める。
(守りのスタンドなんて、自分以外で聞いたことがない。だけど、レアだからといって強いかどうかは別だけどね…)
彼女のそんな思いとは裏腹に、ジョセフは安心の笑みを向けた。
「やはりお前の力はスゴいな。連れてきて良かったと心の底から思うぞ」
「!」
「頼りにしているぞ」
「……ポルナレフさん。早く行きましょう」
誉められ由来は、喜びというより戸惑いを覚えた。
少し先に行くと、サービスエリアのようなところに着いた。
東京とは全く違い、インド国境付近の辺鄙なところだ。
しかし一休みできる店がある。
ジョセフは皆とそこで英気を養うことにした。これから戦いが起きるかもしれないから、それにも備えて。
ポルナレフは壁に塗りたくられている牛の排泄物に興味津々だった。
店に入ってみると、柄の悪そうな男達がたむろっていた。
ジョースター達が入ってきたのに気付いて、不審な目を向けてくる。
(そりゃそうか。こんな怪しそうな外国人が入れば)
由来は襲撃に備えて無意識にアンの右隣にいた。