第3章 DIOの呪縛
「わたしが脳に肉の芽がうめこまれたのは三か月前!家族とエジプトナイルを旅行しているときDIOに出会った」
なぜかDIOはエジプトに留まってるということだ。ともあれ、目的地は明白になった。
「いつ出発する?わたしも同行する」
『!』
「同行するだと?なぜ?おまえが?」
承太郎が開口一番に聞いた。
洗脳状態だったとはいえ、昨日まで敵対した奴が何故…
花京院は軽い笑みをこぼした。
「そこんところだが…なぜ同行したくなったのかは、わたしにもよくわからないんだがね」
承太郎は昨日の言葉をそのままやりかえされ、複雑な気分になった。
「…おまえのおかげで目がさめた。ただそれだけさ」
肉の芽を取り除いてもらった自分の額の傷跡にトントンと触れて、言った。
ジョセフとアヴドゥルは異議を申し立てず、異存はなかった。
ジョセフはエジプトへ発つ前に、愛娘に優しく声をかけそっと頬をなでた。
花京院を含め周りはそれを斟酌する。
「ジョジョのおかあさん…ホリィさんという女性は人の心をなごませる女の人ですね…そばにいるとホッとする気持ちになる。こんなことをいうのもなんだが、恋をするとしたらあんな気持ちの女性がいいと思います。守ってあげたいと思う…元気なあたたかな笑顔が見たいと思う」
(………)
この時、由来の中の何かが動き始めた。
なんともいえない感情が、まるで水のように湧き出て、過去の水車を押し動かし始めた。
彼女は俯いて両手の平を広げて見つめた。
とても明るくアクティブな人で…最初は少し苦手だと思ってた。
でも、ホリィさんの元気な姿が見れなくなって身に染みた。娘や母親を失うことがどれほどか…
・・・・・
私がそんなこと言えるワケないが…
昨夜もいつもと違う布団の中でずっと考えていた……私に、この先何ができるんだと…何をなすべきなのかと……
だけど、1つだけ、今はっきりと思う。
両手をグッと握り締めた。
・・・・
もう一回この力を、誰かのために使いたい。いや、使うべきなんだ。
その想いが、ずっと彼女が蓋をしていた内なる力を掻き立てた。
そしてそれは言葉として顕れた。
「私も…同行を希望します」