第3章 DIOの呪縛
やはり女同士もあって、ホリィがいつもよりおしゃべりだ。
昨日からそれで嬉しそうなのは、ジョセフや承太郎も薄々気付いていた。
「さあてと。承太郎今晩何食べる?」
ホリィさんが立ち上がろうとした。
「ちょっ…ホリィさ…」
「動くなッ!静かにねてろーッ!」
由来よりも後ろの承太郎が先に声を上げ、明らかに動揺を見せた。
(え?)
初め会ったときも、ジョースターさんが激高した時も冷静で感情的とは程遠かったから、こんな慌てることに意外で驚いた。
「ね…熱が下がるまで何もするなってことだ…
黙ってはやく治しやがれってんだ」
帽子のつばを摘んでそっぽ向いた。
(…大丈夫なわけ…ない…か…)
ホリィさんのことじゃない
由来は承太郎のことを心配してた。
一見冷静さを保ちながらも…本当は誰よりも…
承太郎は由来からの視線に気付き、彼女は目を反らした。
最初は、理性的で平静な人だと思ってたけど、今はそうは見えない…
自分の身内の危篤を前にして、冷静でいられるわけ…ないか
「フフフそうね。病気になるとみんなスゴくやさしいんだもん。たまにはカゼもいいかもね」
ハ!
ホリィはまた意識を手放した。
「ホ…ホリィ!ううッ!ま…また気を失ったぞ!!」
部屋はまた不安な空気に包まれる。
おでこに触れても、さっきと変わらず高熱。
「……今の態度でわかった。何も語らないが娘は自分の背中の“スタンド”のことに気づいている…逆にわしらに自分の“スタンド”のことを隠そうとしていた…わしらに心配かけまいとしていた!娘はそういう子だ」
(ホリィさん…)
『“あの子”(承太郎)は私に話してくれない時もあるけど…』
ホリィさんだって…そうじゃあないか……
アヴドゥルが書庫から戻ってきて、絵のハエを特定できたと昆虫図鑑を広げた。
そこにはこう書かれてある。
『ナイル・ウエウエ・バエ』
エジプト・ナイル河流域のみに生息する。とくに足にシマもようのあるものはアスワン・ウェウェ・バエと呼ばれる
「エジプト!」
「それもアスワン付近に限定されます。DIOはそこにいる!」
「やはりエジプトか…」
安静にしてた花京院が突然現れ、しかも彼はDIOの居場所がそこなのに覚えがあった。