第13章 “運命の車輪”(ホウィール・オブ・フォーチュン)
「まさか…」
「気をつけろポルナレフ」
すると相手の車の窓が開き、運転手の腕が出てきた。道を譲るハンドサインを送った。
「プッ!先に行けだとよ。どーやらてめーのボロさを思い出したらしいな。初めっからおとなしくうしろ走っていろや。イカレポンチがッ!」
ポルナレフはさっきと同様、ハンドルを思い切り切った。
次の瞬間、大型トラックが目の前に迫ってきた。
「なにィ!!うああ!!トラック!バカな!」
運転手のポルナレフは一刻も早く回避することを考えたが、ここは狭い道だからできない。
正面と正面で激突してしまう。
「だめだッ!ぶつかるッ!」
しかし承太郎は自分のスタンドがそれよりも速く動けることをよく知っていた。
車がぶつかる前に止められるのは自分しかいない。
(スター……)
“ホワイトシャドウ”
「!」
視界が真っ白になった。車の激しい衝突音どころか風の音も聞こえない。
(あ…やらかしちまったのか……)
ポルナレフは意識がぼんやりした。
ここは天国か?俺は死んだのか?アヴドゥルの後を追うことになっちまったのか?
DIOの野郎を倒すはずが、こんな所で……しかも敵スタンドじゃあなくただの交通事故でやられちまうなんて…
「おい!ポルナレフ!しっかりしろ!」
「!」
花京院に呼ばれて、これは現実であると認識した。
肌に突き刺さるくらいの寒さで意識がはっきりした。
「な、何だァ!?」
ポルナレフは目を疑った。
目の前まで迫ってきた車の恐ろしい光景が銀世界へと化しているのだ。
死んでなんかいない!この車は
・・・・・・・・・・
雪に覆われているんだ!
「な、何なんだ!一瞬でこんな!!」
助手席にいる花京院も、あまりにも突然変わった状況に驚いている。
辺りを見渡しても、窓の外の景色が一切見えない。白一面だ。
窓の外側が、いや、車全体が雪で潰されているんだ。
違うな。潰されているんじゃなくて、
・・・・・・・・
包まれているんだ。
雪がクッション代わりになったのか。
まるで苦い薬を飲むためのオブラートのように。我が子を優しく抱く母親のように。
「雑な起こし方じゃあないですか」
『!』
由来がすでに背後にホワイトシャドウを出して、目を覚ましていた。
白いため息を吐いた。
「由来!」