第12章 クーリング ダウン
自分の敵であるJ・ガイルを単独で探しに行ったことで、ジョースター一行に混乱を招き、最終的にはアヴゥドゥルがやられ、由来は右目を失った。
その事実を悔やんでいるのだと、花京院は聞いた。
「そんな…私は危険を承知で、この旅の同行を志願したから。むしろ片目だけで済んで不幸中の幸いだと思っている」
「君は妙なところでポジティブだな」
花京院は軽く笑い、ポルナレフが言っていたことを再び思い出す。
(「レディーの顔に傷が付いたなんて取り返しの付かないことになっちまったぜ」なんて。いかにもポルナレフが言いそうな言葉だ…)
ドンっ
「わっ!」
由来は再び通りすがりの男の肩が当たってよろめいた。
「おっと、大丈夫かい?」
花京院は片腕で彼女の倒れそうになった体を支えた。
「……ありがとう」
「うん。もう随分歩いたし、そろそろ僕たちは戻らないか?承太郎ももうジョースターさんと合流して、とっくにホテルにいるかもしれない」
「そうだね。リハビリ手伝ってくれてありがとう」
「どういたしまして」
相変わらず口元も緩めない仏頂面な彼女に対して、花京院はにっこりとして返事した。
「…あの、由来。君は自分のスタンド能力の氷で、今もホリィさんを守っているのかい?」
「そうだよ。何か異変があれば、私の氷はあの人の盾となる」
「じゃあずっと能力を使っているってじゃあないか?大丈夫なのかい?」
「……」
由来は曇った顔のまますぐに返事をしない。
つまり、花京院の予想が当たっているということを意味していた。
「確かに解除すれば、
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私は今以上に能力を解放することはできる」
「え?」
由来の氷の能力は未知数で、計り知れないほどの力を秘めていることは、花京院でも分かっていた。
生命に大きく関わる“温度”。彼女はそれを操ることができ、人の命を簡単に奪うことができる。
ダークブルームーンでは、海面を一瞬で凍らせたが、あの時は、DISCでさえ満足に揃ってなかった。
彼女がホリィのそばに設置した守護霊代わりの氷を解除し、残りのDISCが全て取り戻す。
そうなれば、彼女は一体どれほど…