第12章 クーリング ダウン
た、確かに僕は遠距離型だが、そんなことを言われたのは、正直、初めてかもしれない…
(しかも、意外だ。周りに全く関心を示さなそうな彼女が、そう断言できるくらい、今まで僕のことを見ていたってわけか…)
ちなみに、決してやましい意味ではなく、あくまで仲間としての意味だ。
「僕は同じスタンド使いの人達と共に、こんな旅をしたことなんて一度もないからな。だから初めて言われたよ」
「……」
私は花京院くんの言葉を聞いて、軽く俯いて口をキュッと結んだ。
遠い過去で、どこか遠い場所で、似たような言葉を口にした覚えがある。
やっぱり私は、花京院くんと少し境遇が似ているんだな。
そして私は、承太郎とは全く違う。
あの人には大事な家族がいて、守るためにその力を使っている。
だけど私は、その力があったが故、唯一の血族にさえ忌み嫌われ、殺されそうになった。
あの敵の言う通りだよ。何一つ間違えていない。
私は本来、望まれずに生まれたような存在。
私の生みの親は、私の異質な能力を目にして、驚きそして排除しようとした。
実際何があったのか、まだ物心もついていないから、私には何一つ分からない。
ただ、それくらいのことは想像に難くない。
「由来。大丈夫かい?さっきからずーっとぼーっとしているけど」
「……大丈夫」
「もしかして、右目が痛いのか?もしそうならどっか座った方が…」
「痛みはないよ。見た目は痛々しい眼帯だけど、そんな心配することじゃあない」
歩きながら私は隣の花京院に言った。
「その……花京院くんって、やっぱり優しいね」
「え?」
「なんて言えばいいか……花京院くんは遠距離型だから、いち早く周りの危険に気付ける優しい能力というか…仲間を守る能力なんだなって…」
私は拙い言葉を並べて、自分なりに花京院くんのスタンドのことを話す。
お互いスタンド使いである故、今まで苦い思いをしてきたからなのか。
今頃になって、ちゃんと仲間意識が芽生えたのか。
(二度と仲間なんて持たない、なんて思ったこともあったのにな……)
やっぱり、あの人の影響かな。