第12章 クーリング ダウン
由来はそのまま、仲間である花京院に自分の能力の詳細を話した。
「私の氷は防御壁のように変形して、盾のような役割もするんだ。だから、日本にいるホリィさんもそれで守ってきた」
「どういうことだい?」
守ってきた?一体何から?
「水の桶に入れておいたあの氷だよ。あなたも見たはず」
あ!
花京院は思い出した。
確かに、寝込んでいるホリィさんのそばには、看護用の水桶があった。
そして氷が浮かんでいた。それは、水温を保つためだとばかり思っていた。
「じゃあ、もしかして君は今まで……」
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「……ジョースターの血を引く以上、DIOが狙うのは当然だからね。保険はかけておくものだよ」
僕は驚きで声を出せなかった。
考えればすぐに分かるはずだった。
SW財団の医師が24時間体制で看病してくれると、ジョースターさんから聞いて、ずっと安心しきっていた。
だが、いくら彼らでも、あくまで
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普通の人間。スタンド使いじゃない。
DIOの目的は、自分の障壁になり得る存在。ジョースターの血統を根絶やしにすること。
一時的とはいえ、僕が一番そのことを知っていたはずなのに。どうして今まで気付かなかったんだ?
(あのDIOがホリィさんを狙うのは当然のことだ!たとえ瀕死の状態だとしても、刺客を送って、殺そうとしても、おかしな話じゃあない!)
そして由来は、そのことを誰よりも察してして、あえて
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あの時、用意周到に自分の氷を桶に入れたんだ。
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自分の防御型スタンドの力を使って、
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ホリィさんを敵スタンドから守るために。
「……す、すごいな君は」
僕はようやく声を絞り出すことができた。そして何だか自責の念にかられた。
ホリィさんを心配する気持ちは本当の物なのに。
DIOの呪縛から解き放たれ、本当の意志をようやく持てたのに。何でもっと早く気付けなかったのかと。
「いや私はすごくないよ。むしろ花京院くんの能力がすごいと思うよ」
「!」
「あなたは私たちの中で、唯一の遠距離型スタンドだから誰よりも視野が広く、物事を広く見ることができる。だからあなたのような人も欠けてはならない存在だと、私は思うよ」