第12章 クーリング ダウン
「……ホリィさんか。でも花京院くんが惹かれる理由も分かるよ。あんな素敵な人がDIOみたいな殺人鬼によって…殺されていいわけがない…」
私はワナワナと唇が若干震えながら呟いた。
そして平然を保とうと唇を咬んだ。
あの人を漢字一文字で表すとしたら、“愛”だ。
聖女のように優しく接し、息子の承太郎だけでなく誰に対しても分け隔てなく、その優しい笑顔を向ける。
私は初めはその寛大な優しさに慣れなかったけど、あの人の命が脅かされた途端に、その尊さやその価値に気付いた。
あの人は絶対に殺されちゃいけない存在だと、身に染みて分かった。
逆に殺されても問題ないのは、私。
実の母親が殺そうとしたほど、生まれながらに危ない存在。自分でも自覚していた。
周りの人間を一瞬で凍り殺すことができる。
今は力を奪われている影響で、その真価はまだ発揮できないが。
全てのDISCが揃ったその時、私はまた殺人鬼になるだろう。あのDIOと同じだ。
(承太郎。やっぱりあんたが羨ましいよ)
・・・
その力を身に付けた始めから、自分の大切な人のために使っているのだから。
私は、そんなことできなかった。
「……そうだね。君の言うとおりだ。僕もホリィさんを必ず助けたいと思うよ。今もホリィさんはきっと、高熱で苦しんでいるだろうね」
花京院はそう言って、由来と同じ気持ちであることを強調した。
「……花京院くん。あなたは知らないと思うけど、実は私の“ホワイトシャドウ”は、“防御型スタンド”なんだ」
「!」
花京院は初めてその言葉を聞いて、隣の由来に目を向けた。
「“防御型スタンド”?聞いたことないな」
「だろうね。希少なタイプのスタンドらしい。だからDIOは私の能力をえらく気に入っているって」
はた迷惑な話だ。二年前、使者をわざわざ日本に送りつけてまで、私の能力を奪いに来たんだから。