第12章 クーリング ダウン
ドンッ
「!」
「邪魔だガキ」
大柄な男の肩にぶつかって由来は転びそうになったが、花京院が腕を掴んで止めた。
「大丈夫かい?!」
「う、うん。右目が死角になってて気付かなかった」
右側に歩いている通行人に当たってしまったんだ。
花京院の腕を借りて立ち直った。
「さっきの通行人。許せん奴だな。少しは相手の怪我を労らないのか?」
「ううん。多分すれ違っただけで向こうは私の目に気付かなかったんだよ。だからしょうがない」
それに花京院くんが助けてくれたから良かった。
(もし私の同行者が花京院くんじゃなくて承太郎だったら…)
『おい待ちな』
『あぁ?何だくそガキ?ぶつかってきたのはそっちじゃ…』
ドガンッ!
とまあ、こんな感じにボコボコにしていたかもしれない。
(何か失礼かもしれないが、承太郎の喧嘩っ早さを考えたら、花京院くんで良かったと思ってしまう……)
今頃承太郎は、ジョースターさんと合流しているのか?
気を取り直して、花京院と由来は並んで街中を歩く。
色んな店が目に入るが、2人は別段興味がそそられる店が無く、店際によることなく大通りの真ん中を歩き続ける。
「ええと。由来?何の話をしていたんだっけ?」
「……承太郎は正義感が強いところもあるが、正直、自分に対しても厳しい気がすると、確かそう言ったかな?」
たった2週間くらいの付き合いだけど、私は次第にあの人の良いところが分かった気がする。
「……なら、君が承太郎に優しくすればいいんじゃあないか」
「!」
花京院の言葉に、由来は思わず「は?」と声を出してしまう。
「実を言うと、僕から見たら君たちは少し似通っている部分がある。だから似た者通し、きっと気が合うんじゃないかと」
「私が?承太郎と?」
そんなことを言われるのは初めてで、実感が湧かず首を傾げた。
「……いや、優しくするなら、花京院くんでもできるんじゃあないか」
「男子は多分、女子に優しくされた方が嬉しいというか…」
「それ、ポルナレフさんと間違ってない?」