第12章 クーリング ダウン
「え?私だから?」
「君は正直、自分に優しくないというか。自分で自分を苦しめているようだった。自分を決して許さないというか…」
花京院に図星で由来は内心驚き、唇をキュッとしめた。
その通りだ。私は自分のスタンドも、それを持っている自分は全うじゃないと、自分を否定していた。
実際周りの人間は、私に怯えていた。
寒い。冷たい。薄気味悪い。親がいない。施設育ち。
色んなことを言われてきたな。
だからこそ正しくあろうと、人助けを心がけていた。
自分がどんな酷い目に遭おうと、それは仕方ないことだと言い聞かせてきた。
花京院くんは承太郎と同じだ。結構鋭いところが。
「……きっと周りの人が、君をそうさせたんだろう?」
「!」
「承太郎も薄々気付いている。だから、そういう君を心配していたんじゃあないか?」
……いや、花京院くんが気付いていることに驚いているよ。
そうか。花京院くんも生まれつきスタンドを持っている。
なら、周りから煙たがられた経験もあるのか。
しかも花京院くんは、アヴドゥルさんやポルナレフさんとは違ってまだ若いし、スタンドを持ってる故、人間関係に悩むことだって。
(あの二人を見ている限り、スタンドを持っているとしてもそれなりに生きてきたのは分かる)
アヴドゥルさんは占い師を職業にしているし、ポルナレフさんは……分からん。
女性をナンパしているイメージしかない。仕事しているのか?あの人。
そういえば、ポルナレフさんもこの街にいるのか。確かネーナっていう女性を連れて。
(花京院くんとは、境遇では気が合いそうだ…)
私は色々考えた後、承太郎について話した。
「それを言ったら、彼だってそうじゃあないかな?」
「ん?」
「あの人も自分に優しくない性格じゃないかな?一番辛いのは承太郎のはずなのに。誰よりも不安になっているはずなのに。何か、弱みを見せないというか…」
母親を失いかけているのに、全く弱音を吐かない。本音を言わない。
何だか心配になる。
私は家族どうこう言える立場じゃないが、でも少なくとも
・・・
1人は、可愛がってくれた人が過去にいるから、大切な人が危篤になっていたら、そりゃ誰よりも不安になるのは分かる。