第12章 クーリング ダウン
「大丈夫かい兎神?もし疲れるなら手を貸すが」
花京院は手をさしのべたが、由来は首を振って遠慮した。
「いや、少しでも早くなれるために、疲れるくらいが丁度いい。今後私が足を引っ張るわけにはいかないから」
私はこの目と引き替えに、スタンドの一部と能力を取り戻すことができた。
“最強の盾”。私の溶けない氷で、唯一形成できる盾だ。
承太郎は私に昔の思いってやつを思い出させてくれた。
今ではジョースターさんの力になりたいと本当の意味で思えるようになった。
最強の盾があれば、少しは皆のサポートに回れる。
この先、私のスタンドの残りのDISCを集めれば、さらに私は元の力を取り戻せる。
「…そうか。結構頑張り屋さんなんだな……あの…今更だが君を名前で呼んでもいいか?承太郎がそうしていたから…」
「……それは構わないけど、なら私もあなたを名前で呼んだ方がいい?」
「いや。僕はあまり慣れないから、名字でいい」
「そうか。じゃあ花京院くんで」
周りは近所の人々や買い物客と商売人の値段交渉。
バラエティ溢れる会話が流れてくる中、二人の間では高校生らしくよそよそしい会話が流れる。
「そうだ。聞きたいことがあるんだが、その目、前戦った敵にやられたんだろう?」
「うん。スタンドの名前は確かウォンテッドって言って、相手の願いを具現化する代わりに、その身を操り人形に変えてしまうという、恐ろしい能力だった。小さな女の子を人質に取られて、苦戦したんだ」
「そうだったのか。どうやって倒したんだ?」
「……異変を聞きつけた承太郎が助けに来てくれたんだ。彼が来なければ、きっと私はただで済まなかったよ」
右目だけじゃなく命までも弄ばれ、そしてあの人質にされた女の子も殺されていたかもしれない。
承太郎は、一見不親切な不良だと皆に言われるけど、でも仲間を助けてくれることもある。
香港近海の船でも、アンを迷わず助けに行っていたし。
ただ、「私はDIOの仲間」だと敵から言われていたのに、承太郎は私に疑いの目を全く向けなかった。
全力で助けてくれた。
「……正直、必要以上に優しくされてビックリしたよ」
「…いや、
・・・・・・
君だからこそ、承太郎は優しいんじゃあないか」