第12章 クーリング ダウン
花京院はストレングスの船でこんなことを言ったことがある。
『ジョジョ。今度、君が聞いてみればいいんじゃあないか?』
『何の話だ?』
『彼女のことだよ。コントロール不可に心当たりがないかとか…』
『…何故俺なんだ?』
『それは……いや、何となくだ』
(多分承太郎はあのことを言っているのか……)
確かに僕はあのとき、承太郎と由来は、物事に冷静で理性的なところが似ているから、気が合うんじゃあないかと思った。
まさかそれを悟られてしまったのか?
しかし、次に承太郎に聞かれたことが、これまた意外だった。
「お前、あいつのこと、嫌いとか言うんじゃあねえよな」
「!。と、とんでもない!誤解させたのならすまない!分かった。引き受けよう。頼りにされているのなら喜ばしいことだ!」
「頼んだ」
承太郎はホテルの階段を降りて、外へ出てしまった。
「……」
ギイィッ バタンッ
花京院は一旦自分の部屋に入り、取りあえず状況を整理することにした。
・承太郎が誰かに頼みごとなんて珍しいな。
・「アイツのこと嫌いじゃあねえだろうな?」。今の発言、まるで恋人みたいじゃあないか。
・「俺のわがまま」なんて、自分をへりくだるような言い方、全くしない性格のはずなのに。唯一あるとしたら、初対面の時「不良のレッテルを張られている」と言ったときくらい。
・そもそも彼女を名前で呼んで、さらには僕にも頼むなんて…
(全て、彼女を思いやって言っているな……)