第12章 クーリング ダウン
ジョセフは念のため病院で診てもらうことにして、他の皆に先にホテルに行くように頼んだ。
他の皆、ポルナレフ、花京院、承太郎、由来は、ホテルの指定された部屋にそれぞれ待機することにした。
部屋割りは、承太郎とジョセフ、花京院とポルナレフ、そして由来は1人部屋だ。
しかし、承太郎から彼女の事情をすでに聞いていたポルナレフや花京院は心配になった。
独りになっているときが、敵襲の可能性が高いから、彼女が1人部屋になるのは危険なのではと。しかしだからといって一緒の部屋になるわけにはいかないが。
そんなことをホテルの個室に入る前に、彼女に大まかに話した。
「……花京院くん。水筒を貸してほしい」
由来は花京院から水筒を受け取り、なんと自分の手の平を丸めて杯代わりにして、そこに水を注いだ。
コポポコポ
(?)
皆、何をしているんだと疑問を浮かべたら、由来は背後に“白の陰影”(ホワイトシャドウ)を出した。
シュゥ~ンッ!
ホワイトシャドウから冷気が一気に放たれ、少し蒸し暑かった廊下が一気に涼しくなった。
そして彼女の手の平に汲まれた水は凍り、山のような形をした氷ができた。
「氷?」
ポルナレフは首を傾げた。
「これをあなたたちどちらかの部屋に置いてください。もし私の身に何かあったら、遠隔操作で氷にひびを入らせます。そうすれば、別々の部屋でも私の様子が分かるはずです」
「な、なるほど…君の氷。そんなこともできたのか?」
遠隔操作といったら、僕のハイエロファントのスタンドの能力だが、彼女の近距離型の氷の能力にも、そういった応用もできるとは…
花京院は内心、彼女のスタンドに感心した。
「逆にもしそちらに何かあれば、この氷に叩いたり衝撃を与えれば、私もそちらの異常に気付くはずです。私の氷は、その人の生命エネルギーを感知することもできるので」
彼女の氷はふつうの氷ではない。以前彼女は自分からそう言っていたが、それは溶けにくさだけではなかった。
暗い中でも人の体温を感知することでその位置を特定できる赤外線センサーのようなこともできるのだ。
承太郎にDISCを取り戻してもらったおかげで、またできるようになった能力の1つでもあった。