第12章 クーリング ダウン
ペットショップ。それはDIOの部下の1人であり、人間ではなくハヤブサである。
ストレングスのように珍しい、動物のスタンド使い。このDIOの館の門番を務めている。
そのペットショップに、由来の氷の能力が一番詰まったDISCを所持させていることで、彼女の本来の能力ほどの力を引き出せる。
“最強の盾”と皆に恐れられた、最強の守りの能力を。
(今は分からずとも、時がくれば真実が分かる。あの小娘の正体とやらもな…)
DIOはメイに下がるよう命じ、部屋で独りになってからワインを一口飲んだ。
まあいい。じっくりと来るがいい。
お前に再会することを、いや初対面か。どっちでもいい。会うことを楽しみにしているぞ。由来。
その頃、ジョースター一行は、バスに乗っていた。
インドはとても広く、この先のルートは陸地続きなので、当分船には乗らない。
席の配置は、ジョセフと承太郎が相席。
その後ろでは花京院と由来が相席。
さらに後ろではポルナレフと、なぜかホル・ホースに騙されていたきれいな女性が相席していた。
たまたま乗るバスが一緒で、ポルナレフが何かの縁だからと相席にしようと提案した。
「あのね。こーなっちゃあーいけねーぜ!恋をするとなりやすいけどよ。こお~いうふーに物事見ちゃいけないぜ!冷静に広く見ることが大切だな」
騙されていたことについて、ポルナレフが説教していたが、女性の方はポルナレフに全く興味を持たず、聞き流しているような感じだった。
正直女たらしの彼が恋愛云々で気をつけろと注意しても、何だか説得力が見いだせない。
もしかしたら、かつて自分に妹がいた分、兄貴分が備わっており、女性を放っておけない性分なのかもしれない。
そんなことを薄々考えながら、由来は左目だけで窓の外の景色をずっと眺めていた。
(片目だけだと、何だか距離感が不思議だな…)
未だに慣れないな。無理もない。右目をやられたのは昨日だから。
ポルナレフさんの言うよう、広く見ることはしばらくできなさそうだ。
(この先の戦いで足を引っ張らなければいいけど……)
まあ本来の能力、氷の防御壁を取り戻したから、片目の代償はまだましか。
盾さえあれば、ここにいるジョースターさんたちを以前よりもちゃんと守ることができる、はずだ。