第12章 クーリング ダウン
それを考えれば、2人の功績は賞賛に値するものかもしれん。
そもそも私は、あのコンビを気に入っている。
スタンド使いは自分の能力の弱点を知られることを恐れる。それゆえコンビを組むことなく単独で行動することがほとんどで、自分以外を見下す傾向にある。
だからホルホースのような1番よりナンバーツーは珍しい。
奴の能力は存分に発揮されなければいけないから、私は肉の芽をあえて植え付けずに奴を従えている。
(いや、賞賛すべきなのは2人ではないな…)
DIOはしばらく考え事をしてから、メイに目を向けた。
「メイ。私はむしろお前たちはよくやったと思っている。由来の件は残念だったが、片目を潰されては、奴も思うように力を出せなくなるだろう」
「ディッ、DIO様。いつ奴が片目を失ったとお気付きに…?!」
「もうすでに確認済みだ。とにかく落ち着け」
DIOの手元には、先ほど念写したばかりの写真があった。
病院のベッドで座っている由来。ベッドのそばの椅子に座っている承太郎。2人が向かい合って何かを話している。
写真には承太郎の背中と由来の顔が見えた。そして奴の顔は、俺が知っている奴のものではなかった。
承太郎に心を許しているような、安らかな表情だった。
スタンドによって、その人生、運命を狂わされた異分子。その全てを否定され続け、結果私の元に行き着いた者。
ソイツが、ジョースターの元に行き着くとは。
スパイのつもりかとも思ったが、メイの話を聞く限り、残念ながらそうでもないらしい。
一体奴は何者なんだ?本当に由来なのか?
「DIO様。これからどういたしますか?」
「……」
どうするか、か。そうだな。プッチの解析が終われば、全てが分かる。それまでは……
「これから送り込む刺客の何人か、私が選んだ者には由来のDISCを持たせる。そうすれば、あの小娘も戦わざるを得まい」
アイツから抜き取った数枚のDISCは、全てが同じなわけではない。
大部分が記憶のDISCと大部分がスタンド能力のDISCと、それぞれ少し配合が違うのだ。
記憶の方は張本人のプッチに委ね、スタンド能力の方は、ペットショップが持っている。