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白夜に輝く一番星《ジョジョの奇妙な冒険》

第12章 クーリング ダウン



DIOとメイがいるこの部屋は、お互いの顔色を伺いにくいほど暗い。

DIOは太陽光を浴びることができない吸血鬼。

だからその薄暗さに目が慣れているも、人間や動物など普通の生物である部下たちは慣れない。

ただ、忠誠心が強い者ほど、その環境に適合する。エンヤ婆のように。

「たとえ姿が同じでも、人を助けるという偽善の心を持ち、己のスタンドに怯え苦悩するあの姿。全くの別人です」

「そうか……」

なるほど。確かにそれは別人だな。

奴は己のスタンドの力を是とし、己を敵と見なすものを全て排除してきた。

奴はこの世界から見放されてきた。だから、奴は自分のスタンドの存在を肯定するように、否定する者を全て殺した。

(私が知っている小娘は、言い表せば“善”でもなく、“悪”でもなかった)

由来に、私への服従を要求したら、奴はあっさりと承諾し、拍子抜けした。

理由を聞くと、奴はこう言った。

『“あんな”(私を拒んだ)奴らより、スタンドを是とするあんたのそばにいた方が、きっとよく生きられるだろう』


いくら記憶のDISCを奪われたとしても、奴は自分の過去を失ったわけではない。

DISCを奪った以前に、奴は記憶喪失ではないのも分かっている。

全てを覚えていてもなお、このDIOに刃向かう。

なら考えられるのは、容姿もスタンドも由来そっくりの別の人間だということ。

“人を助けることでスタンドを肯定する”。本質があの由来と全くの逆だ。

奴は、“人を殺すことでスタンドを肯定する”のだから。

エンヤ婆は由来を裏切り者と憎んでいるが、私はあの老婆ほど急ぐ気はない。


今さっき見たとおりだが、エンヤ婆は息子のJ・ガイルの死によって正気を失った。

このDIOが恐れ入るほどの邪悪さを秘めているあの魔女でも、1人の母親だった、ということか。

J・ガイルは死に、ホルホースは生き長らえたらしいが、今回の戦いはそこまで負けとは言えない。

なぜなら、あのアヴドゥルを始末したという報告が入った。

向こう側が1人死に、こちら側も1人死んだ。しかし向こうは現在たったの4人……いや、由来の偽物を含めたら5人だが。

こちらにはそれ以上の部下がいる。日本には、空条ホリィに関する情報を送る虹村や、アメリカ合衆国にはプッチもいる。

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