第11章 そんな言葉じゃあない
全員合流できたのは何より。たった一人、アヴドゥルを除いては。
「アヴドゥルのことはすでに知っている。彼の遺体は簡素ではあるが、埋葬してきたよ」
ジョセフは重苦しいそうに呟いた。
「由来!おめーその目ッ!」
ポルナレフは彼女の右目の眼帯に気付いた。
「話は後です。それより何があったんですか?」
このとき、彼女に注目していたのはポルナレフだけではなかった。
ホル・ホースは、彼女がここにいることに驚きながらも、状況を察した。
怒りに震えていた。
ワナワナ
(ちくしょ~!!あのくそ猫野郎!俺たちがジョースターの気を引きつけてやっていたのに、失敗しやがって…!)
作戦の経緯はこうだった。
ホル・ホースは、J・ガイルとのコンビで、ポルナレフに接触する。
あの猫は、アヴドゥルにそのことを伝え動揺を誘い、アヴドゥルにポルナレフを追わせるようし向け、単独行動をさせた。
ジョセフたちは2人のあとを急いで追うが、ここはインドの栄える街。人ごみは避けられないし、この中で団体行動での人探しは無謀。
それでジョセフに、全員が単独行動をするようにし向けた。
そして猫は、“血のにおいに敏感”という彼女の不思議な特性を利用して、彼女だけをおびき寄せた。
他の奴らは、ポルナレフとアヴドゥルのところへ引きつけ、その間に猫が由来を生け捕りにする。
そういう算段だった。
なのに彼女がここにいるということは、猫の作戦は失敗したということだった。
もし承太郎が、彼女のホワイトシャドウが彼女を助けるために意図的に落としていった氷の粒に気付かなかったら、作戦通りになっていただろう。
全員がホル・ホースを睨んだ。
「ひきょうにもアヴドゥルさんをうしろから刺したのは両右手の男だが、直接の死因はこのホル・ホースの「弾丸」だ。この男をどうする?」
「おれが判決を言うぜ」
ポルナレフはゆっくりとホル・ホースの前に立ちはだかり、シルバーチャリオッツを出した。
大事な人を殺した罪は重いことをよく知っているポルナレフの判決は、死刑だ。
バッ!
しかしいきなり何者かがポルナレフに抱きつくことでそれを阻止した。
「お逃げください!ホル・ホース様!」
それはとてもきれいな女性で、口調からしてホル・ホースの知り合いだ。