第11章 そんな言葉じゃあない
さっきまで自信満々だったホル・ホースは、スタンドを引っ込めて、ポルナレフたちに背を向けて走っていった。
「野郎。逃げる気かッ!」
相手に背中を向けてしっぽを巻いて逃げるとは。プライドが高いとは言えない性格。
だが、自分の実力をよく知っているからこそ相手に敵わないと分かり、冷静になって逃げていた。
“おれは誰かとコンビを組んではじめて実力を発揮するタイプだからな……『一番よりNo.2!』これがホル・ホースの人生哲学。モンクあっか!”
しかし曲がり角にさしかかったとき、拳が飛んできて、ホル・ホースは顔を殴られ体を地面に投げ出された。
ボゴォーン!
花京院は、曲がり角の先で待ち伏せしていた人たちの名を呼んだ。
「ジョースターさん!承太郎!兎神!」
少し前の出来事。
ジョセフと承太郎と由来は、花京院とポルナレフと合流するために、街中をキョロキョロしながら歩いていた。
2人が彼女をサンドイッチみたいに挟む形で整列していた。
ジョセフと承太郎は、今回の件で敵が自分たちだけでなく、彼女を狙っていることが分かったため、このフォーメーションがベストだと考えた。
しかも彼女は脚と右目を負傷して、まだ回復してないから、もし新手が来たら彼女は満足に戦えない。
それだけではない。片目でぬかるんでいる道を歩くのは、少し危ないから、左右どちらに転んでも受け止められるようにするためでもあった。
パリーンパリーンッ!
「!」
承太郎は何かに気付いたらしく、2人の前に腕を出すことで歩くのを遮り足を止めさせた。
「じじい」
「ああ。わしも聞こえた。この角を出て左側から、ガラスが割れた音が。ポルナレフと知らない誰かの声が聞こえたぞ。恐らく敵だ」
続いてこちらに近付いてくる足音も聞こえた。
承太郎は、由来に後ろに下がるように言い、自分は前に出て、その敵とやらを待ち伏せした。
すると案の定、角から男が現れた。ビンゴだ。
承太郎は、その男の顔に拳を叩き込み、男の逃亡を防いだ。
「ジョースターさん!承太郎!兎神!」
花京院もポルナレフと一緒にいた。