第11章 そんな言葉じゃあない
それから少し経った頃、ポルナレフと花京院は、
「待ちな!」
ホル・ホースという敵と遭遇していた。
そこは、荒野ではなく街の中。
雨はすでに上がってまぶしい日が射していたから、歩行者もぼちぼちいた。
「今度は観念しな……てめーらの人生の最後だ!最後らしく
・・・・
オレたちにかかってこいよ!」
やる気満々。自信はタップタプのたっぷりである。
しかし、いくらホル・ホースが銃のスタンド“皇帝”(エンペラー)で挑発しても、2人は全く構えていない様子でいた。
実は、ホル・ホースの相棒であるJ・ガイルは2人がさっき倒したから、敵はホル・ホース独りなのだ。
ポルナレフの妹の敵。J・ガイル。
アヴドゥルを後ろから刺し、卑怯な手をいともたやすくやるゲス野郎。
ポルナレフはその根っからの悪人を倒し、長年の雪辱をようやく果たしたのだ。
途中で介入した花京院の協力を得て。
『我が名は、“J”(ジャン)・“P”(ピエール)・ポルナレフ。我が妹の名誉のために。我が友アヴドゥルのこころのやすらぎのために、この俺が貴様を絶望の淵へブチ込んでやる。J・ガイル』
『我が名は、花京院典明。我が友人アヴドゥルの無念のために。左にいる友人ポルナレフの妹の魂のやすらぎのために、死をもってつぐなわせてやる』
ホル・ホースはようやく、肝心の相棒が全く問いかけに返事をしないことを不審に思った。
「聞いているのかい……J・ガイルのだんなよォ!」
「いいや!野郎ならもう聞いてねーと思うぜ……ヤツはとってもいそがしい!地獄で刑罰を受けてるからなあ!」
「おいおいおいおいおいおいおいおい。デマいうんじゃあねえぜ……このオレにハッタリは通じねーよ」
鏡を通じて殺すスタンド。“吊られた男”(ハングドマン)。
スタンドはスタンドでしか倒せない。しかし、奴がいる鏡を壊しても攻撃は不可能。
無敵のスタンドと言っても過言ではない。やられるわけがない。
ただの脅しだと思っていたが、ポルナレフは向こう側を指差した。
「2~300m向こうにあのクズ野郎の死体がある……見てくるか?」
「……よし見てこよう!」