第11章 そんな言葉じゃあない
私は本当の両親がいないことから、周りに変な目で見られたこともある。
その不安を煽るように、背後には“化け物”がいた。
でも皮肉にも、その化け物が唯一、私が由来だという証明でもあった。
家族という身近な人でさえそばにいなかった私は、自分を見失いそうになることもある。
いつも背後にまとわりつくホワイトシャドウが、“私”という存在を成り立たせた。
(殺されかけた、か。いや、私はすでに、社会的に抹殺されていた、か……)
だけど、ホリィさんに会って、考え方が変わった。
親とは、本当は優しくて暖かい存在だと。
だから私にとって承太郎は、仲間である以上に違う意味の存在だった。それは、
“決して叶うことのない憧れ”
(あなたはスタンドを使って家族を救おうとしている……
・・・・・・・
私とは全く違う)
あなたを見てると、もしかしたら私も
・・・・・・・・・・・・
そうなれたんじゃあないかと、思わずにはいられない……
やっぱり私は、あんたが羨ましいよ。承太郎。
「敵がなぜ私が母に殺されかけたと言ったのか、そもそもなぜ私の昔を知っているのか。そこらへんの真実も知る必要があるってことだ」
記憶をDISCにして私から奪って知ったのか。
だけど敵は、私から奪う前のあの路地裏で、私の姿を見た途端、態度を急変した。
まるで私を知っているかの口調だった。
『スガタヲケシタオマエガ、ナゼコンナコトヲ?』
『DIOサマカラ、ウケタオンヲワスレルトハ、ナントイウハジシラズダ』
色々と話はややこしいけど、あの敵に必ず会わなきゃいけないのは確かだ。
あの敵は氷づけにして崖の下に落としたけど、まだ生きているはず。
氷を通じて感じた生命エネルギーが、途絶えてなかったから。
敵に会えば、必ず真実が分かる。
そして必ずとっちめる。
人の過去を悠長に勝手に語ったあの敵だけは許せない。
ゾワッ
『!!』
承太郎と由来は急に妙な視線を感じた。
不意打ちで針を刺されたような。
(え、今のは一体……?)
「承た…」
ガバッ!
「!」
承太郎は私の口を塞いだ。
彼の大きな手は口を簡単に覆えて、呼吸が全くできないほど抑えられた。
「野郎……」
承太郎はそれだけを呟いて、私の口から手を離した。