第11章 そんな言葉じゃあない
「……そう、だな。あなたが来てくれなかったら、私は命を奪われて、この旅をリタイアしていただろうから、まだ、ましかなって」
私はあのときまで、自分のスタンドを恐怖の対象としてしか見ていなかった。
だから迷いがあって、敵につけ込まれて負けた。
でもその考えと状況でさえ覆したのは、紛れもなく承太郎。
「それで、大まかに話したって……私がDIOの仲間だと勘違いされていることも…」
「…ああ。敵が俺たちを錯乱するための嘘だと考えるのが妥当だと。じじいもそう言っていた」
そう…か……
私は内心、ホッとした。
今まで自分は部外者で、素性も隠しているから信じてもらえなくても仕方ない。
そう自分に言い聞かせたのに。
私は、ジョースターさんに理解してもらったことに対して、安心している。
安心したということは、やっぱり私は、認めてもらいたかったんだな……
なんて、そんな悠長なことを考えている場合じゃあない。
よく考えたら、花京院くんとポルナレフさんは、まだ敵と交戦しているかもしれない。
私が動けないから、仕方なしに承太郎がここにいてくれるんだ。
「単刀直入に聞く。話って何?」
早くその話とやらを済ませて、2人の元へ行かなくては。
「……なら単刀直入に言う。DISCとやらで能力を奪われたってのは、どういうことだ?」
「……」
私は2年前、敵に襲われたことは予め言ったが、そこで能力と記憶を奪われたという事実は伝えてなかった。
理由はそう。ジョースターさんたちにとっては余計なことだから。