第10章 決着
「もうあんたに何も語る気もない。だけど、質問は1つだよ。貴様が操っていたあの少女はどうなる?」
(ん?)
途中から来た承太郎には分からない話ではあったが、向こうの方に、ぐったり寝そべっていた少女を発見した。
すぐそこが崖で危なそうな場所だ。
「お前の能力は、願いを叶えることでその者を操り人形にする能力。そしてその者達は決まって殺された」
2年前に襲撃してきた男は、列車で変死体として発見された。
赤いドレスを着た女性は、私たちが泊まるはずだったホテルで変死体として発見された。
その共通点は腕の刺青と、謎の死。まるで用済みにされたような。
(私はさっきあの子をちょっとした能力で催眠術を解いた、はずだけど…)
「返答次第では、あばら骨を上から一本ずつへし折ることになるけど?」
「安心しろ。今はまだ死んでいない。だが、あのガキはまだウォンテッドの催眠から完全に解き放たれた訳じゃあない。直接確かめれば分かることだ」
敵は地面に拘束された姿勢のまま、不気味ながらに親切に教えてきた。
「承太郎!!由来!!」
ジョセフがこちらに駆け寄ってきた。
ジョセフは波紋が使えるから、表面が水で濡れている氷の地面の上を比較的早く移動することができた。
「無事かお前ら?一体何があったんだ?この状況は…!」
驚くのも無理はない。
ここはスケートリンク並の広さで地面一体が氷で覆われているから。
「お前がやったのか?」
由来に聞いた。
「……そうですね。でも敵は承太郎のおかげで拘束できました。けど、この男は敵のスタンド能力で催眠をかけられているだけで、真の本体は別にいます」
「何じゃと!」
ジョセフはしゃがんで地面に拘束されている警察官の男を間近に見た。
「コイツが……」
(良かった。ジョースターさんが来てくれて。ジョースターさんのハーミットパープルなら、操られているとはいえ、何かしらの情報を得ることができるかもしれない)
タイミングがよく好都合だった。
それに肉親であるジョセフと承太郎が何事もなく合流ができたことに対しても、由来は安堵していた。