第3章 DIOの呪縛
「ね、承太郎もいいでしょ?」
今更、息子に意見を求めてきた。
(俺がどうこう言ったところで何も変わらねえだろ)
だが確かに、ちょっとした借りがあるのは事実。
傷の手当てくらいはと思ってたが、まさかこんなことになるとは…
「やれやれだぜ」
こうして、花京院と由来は一泊だけ泊まることになった。
承太郎はワイワイムードの部屋からようやく出て一息ついた。
「あ、ちょっと待っ、あの…!」
由来が承太郎を追いかけて、呼び止めた。
「?」
「その…ごめん。いろいろ」
シュン
承太郎に迷惑をかけることになって、申し訳なく思っていた。
今日会ったばかりの同い年の女子高生が、泊まることになるなんて、超急展開にも程がある。
しかし、承太郎は嫌がる顔を見せず、静かに諭した。
「…お前をここに連れてきたのは俺だ。それにこれはじじいが決めたことだ。アイツにしては納得がいく説明だった。てめえが気にする必要はねえ」
ホッ
(よ、よかった…)
彼女は伝えたいことを伝えて背を向けた。
「ちょい待ちな」
「?」
今度は承太郎が逆に呼び止めて振り向かせ、承太郎はその顔を面と向かって見た。
「?」
(やはりな…間違いねえ)
顔を再度確認してはっきり分かった。
留置場や今朝見たのは、ただの夢じゃない。
全くの同一人物。実際にいた人間だった。
(まさかあれは…予知か何かじゃあねえよな……)
あんな傷を負って生きてるわけねえ。
人を操るスタンド能力はいくらでもあるとコイツは言った。
なら、正夢を見させるスタンドもあってもおかしくはねえ。
(それが本当なら一体…誰がこんなマネしやがった?)
そして、次の日の朝…それよりとても恐ろしいことが待ち構えてたことは、誰も予知できなかった。
〈翌朝〉
とても気持ちのいい天気
アヴドゥルはとっくに起きて、花京院はまだ寝ていた。
ジョセフは起きたばかりで自分の着替えを探していた頃、承太郎はすでに玄関にいた。
「今日こそはまじめに学校行くぜ」
いつもより早く登校する理由は、由来と同じタイミングで家を出るのを避けるためであった。
おふくろに頬にキスされるところを見られたらたまったもんじゃない。
それに、兄弟でもない奴と一緒に家を出るのは、あまり好かない。