第9章 雪辱
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「どうしたの?顔色が悪いじゃあないか。
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敵の前でそんな思案に暮れている顔を
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している人は、大体やられる」
「!」
ハッ!
由来は敵に心配を言葉をかけた。さっき敵に言われたことを、そっくりそのまま返した。
そう。今の立場は逆転している。
敵はようやく自分が置かれた状況を理解したのである。
「あんたが私に言ったように、私も今のあんたの考えは何となく分かる。だから教えてあげるよ。あんたが最強の盾と言っていた“これ”は、お前のような自分のことしか考えない卑劣な奴には使えない」
「何だと?盾とは己の身を守るためにあるものだろう。だから貴様は今まで使えなかったんじゃあないのか?」
敵の問いに由来は首を振った。
「お前の言ってることは、半分正しくて半分間違っている。それは、
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普通の盾の場合のこと。私の盾は自分の身を守るためではない。これは、
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仲間を守るためのものだ」
それが、私と敵との圧倒的な違いだ。
かつて私も、守りたいと思った仲間がいた。
忘れていたが、確かにいたのだ。
彼らを守りたいと強く願ったから、私にこの能力が宿った。
だからこの能力は、仲間を守るときにしか、真の意味を持たない。
「お前のように自分のことしか考えない、守るものもないお前に、私のホワイトシャドウを完全に操れないのは当然だ。だからあんたが作った盾はもろく弱い」
盾とは身を守るためにある。だからホワイトシャドウを持つ私が最強と呼ばれた?
その考えを持っている時点で、あんたは私に敵わない。
(私は今まで、承太郎たちをちゃんと仲間と認識していなかった。盾を使えなかったのは、それも原因だったかもしれない…)
要するに、気持ちの持ちようだったかもしれない。
“守る”と思っていたのは義務的なもので、“守りたい”と思っていなかった。
敵の能力で記憶も若干奪われてもいたが、敵の言うとおり、私にはちゃんとした心がなかったのかもしれない。