第9章 雪辱
スタープラチナは敵の頭ではなく氷の盾を殴った。その硬さはさっきと変わらず異常だった。
スタープラチナのパワーを持ってしても、ヒビすら入らない。
「は、ハハハ。残念だったな。皮肉にもお前の仲間の力で俺は助かったなんてよ。承太郎」
「……」
しかし承太郎はそんな敵の挑発に耳を傾けることはなく、拳の力でさえも緩めなかった。
『それから、あともう一つ。あの氷の盾のことだけど……どこまで知っている?』
由来は向こうにあるそれを指さした。
『…敵が、お前から奪った力の一部だと言ってたな。確か“最強の盾”だと』
『そんな恥ずかしい呼ばれ方された覚えはないけど、私の能力なのは本当だよ。私の氷だと、溶けることはない。だけど恐らく壊れだろう……あんな奴が使ったのなら』
『どういうことだ?』
『あの盾はね……』
ビ、ビキビキッ…
「!!」
スタープラチナが拳を当てている辺りを中心に亀裂が入った。
バキィーンッ!!
そしてついに、その氷の盾は砕け散った。
「な、何ィ!?」
ば、馬鹿な!!あのDIO様でも壊すことのできなかった盾だぞ。俺も今まで壊れるところなど一度も見たことない。
なのに、スタープラチナに壊せるわけが……
オラァッ!!
氷を砕いた拳はそのまま敵の頭にヒットした。
「グアアッ!!」
男の頭からは予想通り、殴った衝撃でDISCが一枚出てきた。
表面にホワイトシャドウの姿が描かれている。
承太郎はそれを抜き取って、敵から一歩離れてから、由来に向かってカーリングのように滑らせた。
シャー
この氷の上を移動するより、目当ての物だけを滑らせた方が確かに早い。
サーッ
DISCは由来の膝に当たり、彼女はそれを取った。
「ッ!!承太郎!!!貴様ー!!」
敵は鬼のような形相で再び承太郎に襲いかかってきた。
「!」
承太郎は、彼女が取り戻したことで少し安堵してしまい、後ろに下がるのが少し遅れてしまった。
敵の手が承太郎の腕に触れれば、承太郎も呪いをもらってしまう。苦痛を味わうことになる。
「お前も呪われ…!!」
ガァーンッ!!
『!』
しかし承太郎と敵の間に氷の盾が現れたことで、承太郎は触れられずにすんだ。
「これは…!」
「やれやれ。ようやく取り戻したよ」