第9章 雪辱
敵はさっき、自分が元々持っていた拳銃の弾を切らしたことで、亡くなった警官が持っていた拳銃と取り替えたのを、由来はちゃんと覚えていた。
つまり、承太郎が今持っている拳銃の弾では、向こうで亡くなっている警察官が今持っている拳銃には使えない。違うタイプの拳銃だから。
それを使うには方法は一つ。それに合った弾を作るしかない。
由来の脚の中に食い込んでいる弾丸は、亡くなった警官の腰にある銃に使えるタイプだが、使用済みのものでは若干変形しているから使えない。
なら、変形する前のちゃんとした形を、それを参考にしながら再現すればいい。
『私の氷は普通の氷とは違って頑丈にできている。射撃の衝撃には耐えられる。これを
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敵本体ではなく敵スタンドに撃ち込めば、必ずダメージを与えられる』
スタンドには、スタンド攻撃しか通用しない。
しかし、撃ち込むには背後からじゃないとダメだ。
そこで少し凝った方法で銃を撃つことにした。
敵を挟み撃ちの形にして、由来が氷の弾を撃つ。
そしてそれを承太郎が普通の弾で撃って弾き返して敵スタンドに当てるというものだ。
『敵は見た目によらず用心深いけど、私たちの狙いは巧みな射撃だと気付けば、恐らくそれ以上は用心しない。それで氷の弾に気付かず、スタンドに向かっている弾を「残念外れだ」と貶すはず』
要するに巧みな射撃はフェイク。本命は氷の射撃。
由来はただ、自分に開けられた穴と同じものを敵スタンドにつけるだけのことをやるのだ。
敵は意地を張って、弾丸が飛んできてもスタンドを引っ込めることはないだろう。
ともかく遠隔射撃をすれば、敵が直で腕を触ってきて呪いを植え付ける恐れもない。
『あなたのスタープラチナの精密射撃ならできると信じている……プレッシャーをかけるつもりはないけど、頼んだよ』
それから、あともう一つ。あの氷の盾のことだけど……
ボゴンッ!!
「あ……な……」
ウォンテッドは氷の弾で首元が貫通して、深刻なダメージを負った。
「あ゛…あ゛……」