第9章 雪辱
敵は不意打ちの射撃で避けれないと焦ったが、しかし心配に及ばなかった。
なぜなら、人間離れした芸当で軌道を変えた弾は、自分にではなく自分が防衛目的で反射的に出したスタンドに向かっていたからだ。
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(スタンドにはスタンド攻撃しか通用しない。弾丸はスタンドを通り抜けるだけで、俺はダメージを負わない!)
スタンドを引っ込めたら、まるで弾丸にビビっているように思われる気分がして、あえて出したままにした。
通り過ぎた後に「外れだ下手くそ」と馬鹿にしてやろうと思った。
(こんな方法で変化球を出したのはすごいと思ってやる。俺が気付かなければ、後頭部に当たってたな)
承太郎が弾き飛ばした弾丸は、
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彼の思惑通り、敵のスタンド“ウォンテッド”に向かった。
数分前
由来は弾丸を抜いてもらい、それを承太郎に託し、“あること”をやってもらった。
「……。できたぜ」
由来は脚の激痛を耐え忍びなんとか正気を保ちながら、それを受け取った。
「い、1分も経ってないのに…さすがだ。思った以上によくできてる。これは、
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あなたにしかできなかった」
自分で頼んどいてなんだけど、このできばえの良さに、驚かずにはいられない。
「そういうのはあとで好きなだけやれ。それより、“ソイツ”で本当にうまくいくのか?」
由来は承太郎が作ってくれた“それ”を指で摘まんだ。
「アナタも知っている通り、スタンドには
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スタンド攻撃しか通用しない。だから
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ただの弾じゃあ攻撃はできない。しかし、この戦いを見る限り、本体よりもスタンドがどんくさいから、まずはスタンドを狙って相手を怯ませるべきだと私は考える。
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それでこれを使う」
由来が作ってもらったのは、
弾丸にそっくりな形をした氷だった。
スタープラチナがあの氷の粒から精巧かつ素早く作ったものだ。
『あなたが今持っている拳銃と、あの亡くなっている警官が持っている拳銃は違うタイプだ。だからその弾のデザインも違う。そこで私の脚に食い込んでいる弾の形をアナタに見てもらって、それを参考にしてスタープラチナで氷を弾丸と同じ形に削りだして欲しい』