第9章 雪辱
ダァッン!!
由来は引き金を引いた。
(俺に正面から撃つとは。馬鹿めが…!)
お前はもっと賢い奴だと思ってたぞ!
ヒュゥン!
敵は弾丸をよけた。
しかしその瞬間、敵は妙な違和感を覚えた。
(!!。いや待て…賢いからこそおかしい……これは…)
敵は自分を横切った弾丸の軌道を考えて、あることに気付いてしまった。
今俺が避けたこの弾丸、承太郎がいる岩に向かって発射されているじゃあねえか!
(由来の奴。自分と承太郎の間に俺が入る瞬間を狙って、そのタイミングで撃ってきたということか)
自分をエサにして俺を誘って、挟み撃ちの形にしたというわけか。
よく考えたら、由来は撃ったのに承太郎は撃ってねえじゃあねえか。
同時射撃じゃねえってことは……
ソロリ
敵はゆっくり、かなり後ろの方いる承太郎の方に振り向いた。
承太郎はスタープラチナを背後に出して、こちらに銃口を向けていた。
いや、正確にいえばこちらではなく、
・・・・・・・・・・・・
彼女が撃った銃弾に向けてだ。
(まさか…!)
ダァンッ!!
承太郎はスタープラチナの目を使って射撃した。
カキンッ!!
放たれた弾は、由来が撃った弾にあたり、なんと彼女の弾の軌道を180℃変えてしまった。
承太郎が敵から奪った拳銃と彼女が死体から借りた拳銃は、少しタイプが違い、承太郎の方が威力があったことで、彼女の弾を押し返したのだ。
弾はまた再びこちらに向かって飛んでくる。
(何ィッ!)
こんな芸当。人間がするもんじゃあねえよ。
由来はもちろんだが、承太郎も全く人間離れしてやがる。
(あんな成功率皆無の射撃するなんて。そんな…!)
スタープラチナは動体視力と精密さは最高レベルだと聞いているが、まさか銃弾を銃弾で軌道を変えるまでとは!
(だが残念だな!俺は
・・・・・・・・・
その前に気付いたぜ!)