第9章 雪辱
由来が苦い顔をしていたのは、自分が今まで普通の人間として生きてきたとは言い難い事実に対してだった。
その中に、どうしても
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承太郎だけには知られたくない事実も含まれていた。
それを知られることに、彼女は不安を感じていたが、余計な感情を押し殺した。
今それで不安であることを承太郎に悟られないよう、再び作戦を話し始めた。
『敵が何を言おうと、私はそれを事実だと受け止めて、動揺せず
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策を実行する。でも、もし手元が狂ったらそのときは…』
『俺のスタープラチナの動体視力なら、
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お前の僅かなズレも許容範囲内だ。だから無理するな』
『……この戦いが終わったら、話すべきことは話す。だから敵が何を言おうと、聞き流してほしい…』
由来は申し訳なさがありながら、承太郎のスタンドの強さとそれに頼れる安心感を噛みしめていた。
そして彼の優しさで、なぜだか心の内がじんわりあたたかくなるような感覚があった…
そして今に戻る。
由来は予想通り敵が戯れ言を言っている間、滑りに滑ってようやく目的の場所に辿り着いた。
それは、殺された警官の死体の元だった。
(アイツ、まさか…)
さっきまで余裕と自信たっぷりだった敵は、由来の思惑を察した。
(承太郎と同時に射撃して、俺を攪乱するつもりか?)
だが、承太郎が俺から奪った拳銃に入っている弾は、全部で4発。今2発使ったから、残りは2発だ。
そして由来が今手に持っている死んだ警官の銃には、残念ながら何も入ってやしねえ!