第9章 雪辱
カシャ
「あるぜ。うつ伏せになって、右腰にまだ差してある。だが中に弾丸は入ってねえな」
あの敵。頭がイかれている奴でありながら、妙に用心深いぜ。
「…なるほど……あともう一つ。さっき見せてくれた、氷の粒は、まだ持っている?」
承太郎は拳銃が入っているポケットとは逆の方のポケットから、それらを取り出した。
・・・・・・・
(この大きさなら……いける…)
・・・・・・・
やる価値はある。
「お前。独りで何考えている?」
承太郎は由来に聞いた。
「時間があまりないから、手短に言う。私はあなたの言う通り…自分勝手だ。これが皆にとっても最善だと決め込んで、周りのことを見ていなかった」
由来は自分の行いを反省するようなことを言い出した。
「だから、
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今回で最期にするから…また私のわがままに付き合ってくれるかな…?敵を倒すために……」
要するに由来には、策があるのだ。
うかつに敵に近付くことができないこの状況、敵に不意打ちを仕掛けて頭部を叩いて、DISCを取り戻す方法が。
「……おめーもだいぶ分かりにくいことを言うな」
え?“も”って…?
「だが、あの敵を一番知っているのは俺じゃなくお前だ。だから言ってみろ」
「……」
最初に頼むことは、承太郎でも反対するかもしれない。
でも、分かってほしい……
「……今、私の足に食い込んでいる弾丸を、スタープラチナで抜いてほしい」
「!」
承太郎はその意味を瞬時に理解した。
今、埋め込まれている弾丸が血止めの状態になっている。
つまり、それを抜いてしまえば、大量出血を引き起こし、命に関わる。
生き返ったばかりでまだ体が弱っている彼女だと、なおさらまた死ぬ。
彼女は承太郎に「殺してくれ」と間接的に頼んでいるようなものだった。