第9章 雪辱
(花京院くんのハイエロファントグリーンのような遠距離攻撃かつ不意打ちが可能な巧みな動きや術があれば……)
しかし彼は今頃、ポルナレフさんと別の敵と対峙しているはず。
恐らくそれが敵の狙い。
花京院くんのような、遠距離移動が可能なスタンドなら、仲間同士でコンタクトを取ることができる。
私たちの中で唯一、遠距離型スタンドの花京院くんが切り離されるのは、こっちにとってかなりの痛手だ。
もし彼がいれば、ジョースターさんが今どこにいるのかも分かるが…
(ないものねだりしても前に進まない。何か……)
「!」
由来はふと承太郎の学ランのポケットに入っているあるものを目にした。
それは、拳銃だった。
「それ、どこで手に入れたの?」
「……一番最初に敵をスタープラチナで殴ってお前を拾ったついでに奪っておいた。中には弾が4発あるな」
脚のキズ…弾丸…拳銃……ハッ!
由来は急に周りをキョロキョロし出した。
まるで近くに電話の着信音が流れ、鳴り止む前に必死に探すように。
「?」
「……承太郎。あなたのスタープラチナで、あそこの警官の死体の腰に、まだ拳銃があるか見れる?」
由来が指差した先には、確かに警官の死体があった。
ここから大体10m離れたところで、方向は、我々、死体の警官、敵を繋ぐと正三角形になるような感じだ。
「……」
承太郎はその理由を聞くことはなく、黙って由来の要求を聞き入れ、スタープラチナを使って見てみた。
聞かないのは恐らく、彼女の言うことには必ず説得力があると思っているからであった。