第9章 雪辱
ピーン!
「ん!?」
キキィッ!
敵はさっきと何かが違うと違和感を覚え、一旦攻撃の手をやめて、承太郎たちから距離を取った。
由来の腕にかけた自分のスタンド能力が、消えていることに気が付いた。
(そ、そんな、まさか…!!)
ウォンテッドから逃れる方法は、俺が設定した願いを念じること。
だがそれ以外にもう一つだけある。
自分の本当の望みを、他人に叶えてもらうこと。
(まさか、この土俵際で自分の願いを叶えて、ウォンテッドの呪いを破っただと?それも、承太郎の力を借りて)
そんなバカな。アイツに願いなどあるわけが…!
(何だ?敵の奴、また距離を取って…)
「!」
承太郎も、由来の腕の刺青も無くなってたことに、目で見て気が付いた。
「お前、腕が…!」
「……」
グッ
由来は手の平ではなく手の甲を上にして、拳を握ってみた。
呪いの痛みがあったときは、握ったらさらに痛みが増すから極力やらなかったが、今はできる。
刺青が無くなったことで、痛みは無くなり、冷やして感覚を麻痺させる必要もなくなった。
由来は腕の冷却も解除すると、肌が元の色を取り戻しつつあった。
死人のような淡い色から、生き生きとした色へ。
(どういうこと?何で急に解けたの?)
まさか……