第9章 雪辱
「俺はこれを辿ったことで、敵にやられているてめえを探し当てた。この意味が分かるか?」
承太郎に聞かれたが、由来は分からない様子でいた。
(え?皆と別れた後、あの人混みの町からここの荒野までずっと続いていたって?)
ホワイトシャドウが勝手にやったの?
でも、なんでそんな現象が……
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「てめえのスタンドが俺にそうさせたんだ。
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お前の意志に反してでもお前を助けたくて、跡を残していったんだ。誰にも助けを乞わねえ頑固モンのてめえをな」
「!?」
ホワイトシャドウが、私を、守るために……?
由来は驚きで目を見開いた。
ジョースターさんか花京院か承太郎の誰かに、私の危険を知らせるために、スタンド氷の目印を作っていったと言いたいの?
そんな意思が私のスタンドにあると言いたいの?
承太郎は由来の腕を掴み、未だに低い体温を確認してから口を開く。
「その証拠にお前は死ぬ寸前、体を冷凍状態にされたことで、肉体が腐敗するのを防がれた。てめえがそうして生きていられるのは、てめえのスタンドの能力がそうさせたんだ。てめえが一番よく分かっているはずだ」
「……」
この時の由来は、その承太郎の言葉より、自分に向けてくれる真剣な眼差しを見て思った。
(私は…この人の瞳が好きだ)
綺麗な緑色で、何より、迷いのない確固たる意志のような強さを秘めている。
そんな鋭い眼差しだ。
他の人は目を合わせた途端、怖がるかもしれないが、少なくとも私は、綺麗だなと見惚れてしまう。
その瞳を前にして、それ以上否定できなかった。
自分の体の状態は、自分がよく分かっている。
確かに、死から目覚めた割に、肉体が腐るなどといった損傷はなかった。
それに、
・・・・
もう一つ、心当たりがあるからだ。