第9章 雪辱
(とにかく、目立つのも人混み苦手だから、関わらない方がいいな…)
由来が石段を下り始めた。その時、
グッパオン
「!」
血のにおいがして、スタンドを反射的に出した。
見下ろしたら、あの男子生徒が膝を怪我して落ちている最中じゃあないか!
このままではさらに下の方の地面に、頭から落ちて大けがする。即死もあり得る。
((マズい…!))
由来は木の上に瞬時に登って姿を隠し、ホワイトシャドウをクッション代わりにして助けた。
モフッ
男子生徒は何とか怪我を負わなかった。
((あ、危なかった……))
危機一髪でこちらもヒヤヒヤした。能力とは別の意味で。
((こんな緩やかな石段で、あんな転倒するなんて。何か外部から攻撃を受けた衝撃の後のようにも見えたけど………ん?))
その男子生徒の様子がおかしかった。
普通の人に見えないはずのホワイトシャドウを目視しているように見えた。
((え?まさか…あの人、スタンド使い…?))
それを確かめる必要もなく、相手がスタンドを出してきた。
((やはり…!))
2年前の敵の仲間か…?
だけど、男子生徒は攻撃してくる様子には見えない。逆に、私を敵かもしれないと警戒しているようだ。
((何者だ?……いや、とにかく、膝の怪我も治しておこう。じゃないと、学校まで歩いて行けない))
私はホワイトシャドウを介して、"ある力"で、男子生徒の膝の怪我を治した。
そしてスタンドを引っ込めた。
((……どうやら、ズル休みをする必要があるらしいな))
あのスタンド使い。敵には見えなかったが、どうも気になる。他の女子高生が考えるような意味ではない。
私は男子生徒とは違う方向に周り、その学校に忍び込んだ。
学生服で隣町の高校であることはもう知っていたし、それに怪我は治ったとはいえ、念のため保健室に行くことも予想がついた。
そして学校に着いたら、他校の友人に会いに来たという名義で侵入して、気付かれないよう保健室のベッドに潜んだ。
案の定、あの男子生徒が来た。
カーテン越しに、視線が気付かれないよう静かに様子を見た。
『ジョジョどうしたのそのけが?まさかまたケンカしたんじゃないでしょうね!』
「!!」
え?今、“ジョジョ”って言った?そんな変わったあだ名の人が、他にもいるなんて……