第3章 DIOの呪縛
「…失礼だが、身元を証明できる物はあるかな?」
由来はブレザーの裏ポケットから何かを取り出して机に置いた。
「学生証?」
氏名と学校名と印章が刻まれてある。
「ああ…すまない。別に疑ったわけでじゃあないんだ。君のようなスタンド使いが日本にいることに驚いたのだ」
「…私は100%純日本人です」
承太郎は学生証をヒョイと取った。
(この学校名は隣町か。“兎神由来”。変わった名前だな。年下かと思ったぜ…)
お互いの自己紹介を済ませ、ジョセフは大切な話を始めた。
ジョースターの長きに渡る因縁のこと。DIOのことも。
承太郎さえ信じがたかったその話を、由来は異議も唱えずただ静かに聞いた。
「というわけだ。こんな話信じてくれないと思うが…」
「いや、信じます」
「エッ!?」
承太郎の時とは違い、彼女は即答した。
疑問から確信を得たような表情に変えた。
「なぜなら私も、その“ディオ・ブランドー”のことを知っていますからね」
!!
「なぁにィィ??!!」
ジョセフは和室に響くくらいデカい声を出した。
(ブランドー?)
この時、承太郎は初めてDIOのフルネームを知った。
ジョセフは由来の両肩を掴んで、真に迫るようにさらに問い詰める。
(!)
「一体どういうことじゃ?!奴のことを知っとるのか?」
「ジョースターさん。落ち着いてください」
アヴドゥルが止めにいった。
(ビックリした…)
由来は掴まれた肩を痛そうに抑えた。
承太郎は学生証をスッと差し出した。
「“厄介者”と呼ばれていたな。それと何か関係があるのか?」
ジョセフとは違って、いつもの冷静な態度で話しかけた。
「……」
彼女はそれを黙って受け取った。
「花京院くん…?は何も知らないと思う。正直私もよく分からない…いや、実は私も2年前くらいにあったんだ。今回みたいな、DIOからの刺客が」
『!』
「それは一体どういう…?!」
「花京院くん、泊まれるって!よかったわあ!」
タイミング悪く、電話を終えたホリィがジョセフの言葉を遮り、嬉しさいっぱいで廊下から出てきた。