第8章 雪解け
最強の盾。DIOでさえ破壊できなかった由来の本当の能力。
だからDIOは、手下を介して由来のスタンドを奪って、能力を封印した。
(てことは、由来はやはりDIOと面識が……)
だがコイツは、そんなこと一言も言っていない。
しかも、かつてはDIOの手足だったなどと…
(花京院の時みたく、肉の芽で洗脳されていたのか…?)
俺たちに知られたくなかったから、黙ってたってわけか?
本人に聞くのが一番早いが、その本人様は今スタンドを奪われ、俺の腕の中で息絶えている。
「DIO様がそんな小娘を気に入っているのは、攻撃ではなく防御に特化したイレギュラーなスタンド能力という点。DIO様は唯一自分に通用する能力を持つソイツを、あえて殺さず仲間に引き入れたことで、最強の守りを手に入れた」
ウォンテッドのスタンド使いの警察官は、戦う意志を見せず、2年前由来の身に何があったかを教えた。
いや、自分が直接手を下したことだ。
「俺は2年前、DIOに尽くすことを拒んだソイツの、能力を奪った。DIO様の障壁となる者は排除するまで。だがほんの少しだけ生かして、この2年間、改心するか様子を見ていたというわけだ。お前は知らないだろうがな」
承太郎は再びその氷の盾を目にした。
分厚く精巧な作り。これ自体が門のような威圧感。
由来の能力は、自分を中心に展開しかできない無差別氷結とばかり思っていた。
だから周りに無関係の者がいる時は使えないし、決定的なのは、ストレングスで、水のコースを作ってそこしか凍らせないようにしたことだ。
精密さに欠けると彼女自身も言っていたが、“盾”を形作ることができたとは。
「DIO様を守るための盾が、ジョースターを守るための盾になって寝返るとは。恩を徒で返す不埒者とはこのことだ。まあその盾の能力は俺が奪ってやったがな」
・・・・・
たった1枚じゃ使えなかった由来とは違って、今俺は
・・・
2枚で使える。
「ホワイトシャドウは元々戦闘向けスタンドではないんだ」
とは言っても、俺の本来のスタンドウォンテッドも、人間を操ることはできるが、スタープラチナほどの戦闘向けのスタンドではない。