第8章 雪解け
体を急激に冷やせば、その機能は一時的に停止する。
冷凍すればその鮮度を保つことができる、いわゆる冷凍食品や冷凍マグロと同じメカニズムだ。
つまり今のコイツの状態は、熊で例えると“冬眠状態”みたいなもの。
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(自分が生き返ることができる確証があって、コイツは最後の力を振り絞って、自分の体にスタンド能力をかけて、体を一時的に眠らせたのか…!)
自分が目覚めたとき、体が腐っていねえように。
でなければ、そんなことはしねえ。
最後まで諦めなかったんだ。コイツは。
スタンドが生きてるってことは、やはりコイツはまだ死んじゃあいねーぜ。
(敵はコイツのスタンドを奪って悪用している。なら取り返せば、コイツはまた息をするはずだ…!)
まだ助かる。
少し希望が見えてきて、心に余裕が出てきた。
と同時に敵に大きな憎しみを抱いた。
人を傷付けることを嫌う優しい由来のスタンドを、
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そんなことのために使おうとする敵の邪悪さに、吐き気がした。
(野郎……)
承太郎は敵の男を睨んだ。
由来に屈辱的な死を与え殺した挙げ句、その力を乱用するとは。これを“侮辱”と言わず何と呼ぶ?
「俺のスタンドじゃあお前は倒せない。本意ではないがやむを得ない。使わせてもらおう。“ホワイトシャドウ”」
グォォォアッ!!
ホワイトシャドウが怒号を上げると、地面一体は氷の床へと変貌した。
シャァンッ!!