第8章 雪解け
(ど、どうやってここが分かった……?!)
まさか由来が?!……いや。アイツが誰かに助けを求めるわけはない。
(お、落ち着け……承太郎は今来たばかりで何も知らないはずだ。俺はただの警察官として、何とかこの場を切り抜けよう…)
由来はもう死んでるはずだが、それを知っていることを悟られちゃあならねえ!!
「な、何をするんだ君!いきなり殴るなんて!私はその子が襲われていると通報を受けて来たのだ!俺の上司はその犯人に銃殺されて、その子は足をやられたッ!すぐにその子を病院へ……!!」
不良少年に暴行され、怒る警察官を演じた。
自分が由来ともう1人の警察官を殺したスタンド使いだと悟られないよう、架空の人物が犯人だといいのけた。
(とにかく承太郎から由来を奪わなきゃ厄介になる。警察官の俺が由来の身柄を確保して、その隙に連れて行く。もっとも、病院に連れて行ったところで、ソイツはもう助からねえがなッ!)
「……てめえ、今殴ったといったな?何でそれが分かった?俺は殴ってねえぞ」
は?コイツ、何を言って……ハッ!!
由来を抱き抱えている承太郎から2mほど離れた隣にスタープラチナがいた。
(しまった!殴ったのは承太郎ではなく、スタープラチナだったか……!!)
「今、俺のスタンドを見たな。てことはお前がその犯人だ」
や、やられた…!
承太郎が鎌を掛けたことで、あっさりバレてしまった。
(『スタンド使いの見分け方は、相手が自分のスタンドを見えるかどうか』。コイツが言った通りだ)
由来はストレングス戦でも同じことをして、すぐに分かった。
たとえ動物相手でも手加減しない。一見、無関係に見える相手でも。
そして嘘というのは、焦っているときこそその本性が見えて、あっさりばれてしまうものなのだ。
(クソッ。まさかよりによって最悪の相手が来ちまった。ここは手を引くか……いやダメだ。由来を回収しなければ……!)
「コイツに、何をした…?」
「?」
承太郎の雰囲気が変わった。
冷静な態度から一変して、明らかに激高していた。
何故なら、抱き抱えている由来の体が異様に冷たかったから。
まるで、生きていないかのようで。
「コイツに、何をしたかと聞いているんだ!」