第3章 DIOの呪縛
「こいつは助からん。あと数日のうちに死ぬ」
『!』
「承太郎…おまえのせいではない。見ろ…この男がなぜDIOに忠誠を近いおまえを殺しに来たのか…?その理由がここにある!」
花京院の額には、クモのような形をした肉片があった。
アヴドゥルが説明するには、それはDIOの細胞からなる肉の芽。
それを植え付けられたことによって洗脳状態に陥り、忠誠を誓わされたと。
「そして数年で脳を食いつくされ死んでいたろうな」
「死んでいた?ちょいと待ちな。この花京院はまだ死んじゃいねーぜ!」
承太郎は自分のスタンドを出して、肉の芽を除去しようと手を伸ばす。
「待て承太郎!」
「じじい!おれにさわるなよ。おれのスタンドは一瞬のうちに弾丸をつかむほど正確な動きをする」
「やめろ!その肉の芽は生きているのだ!」
掴んだ途端、肉の芽は触手のようなもので承太郎の手の皮膚を突き破り体の中へ。
「マズい!手を放せジョジョ!」
「摘出しようとする者の脳に侵入しようとするのじゃ!」
危機的な状況に周りが焦る中、彼は冷静を保ったまま手を止めない。
由来は止めもせず、隅で見ていた。
彼の言いつけを守っていた。いや、承太郎の落ち着きや優れたスタンド能力に無我夢中になっていたといった方がいいか。
その冷静さと強力なスタンドのおかげで、肉の芽は無事に取り除かれ、花京院は正気に戻った。
「な…なぜおまえは自分の命の危険を冒してまでわたしを助けた…?」
殺そうとした相手である自分を、何で…
「さあな…そこんとこだがおれにもようわからん」
背を向けて言った彼の言葉に、花京院は涙ぐんだ。
ちょうど救急箱を持ってきたホリィは、その会話を密かに聞いていた。
(ママはちゃんと見ぬいてるんだからね…承太郎)
ホリィは花京院の手当てを施した。
「ありがとう…ございます]
「花京院くんだったわよね?今日は休んだ方がいいわ。今日は泊まっていってね」
その明るい性格は、さっきまでの緊迫した雰囲気を一気に和ませる。
ジョセフがベッドのことでブーブー言ったり、ホリィが自分の名前のことで盛り上がる。
「ホリィって日本語で聖なるって意味なの。だから、聖子さんってお友達は呼ぶのよ」
(松田聖子…)
さっきから無言で突っ立ってる由来は、こんな事を思っていた。