第7章 敵の的
彼女は自分の頭の中に、何かバチバチしたものが入っていくような感覚を覚えた。
「グアアアッ!!」
幼女らしくない声を上げ、頭の中の感覚で逆に意識がどんどん遠のいていった。
・ ・・・・
(こ、この能力、は…一体…?!)
インディラは意識を逆に奪われ倒れ、化け物スタンドは消滅していた。
「ハァ……ハァ」
勝った…
由来は疲労感と脱力感が体の表面から芯まで伝わり、その場で息を切らして跪いた。
(な、何とか……
・・・・・・・
成功したようで…良かった……)
“この力”は体調が万全でなければ使えないけど、何とかできた……
一か八かの賭けだったけど、うまくいったらしい。
本体が意識を失えばスタンドも消える。
ただ敵を倒した今でも、少しひっかかることがある。
スタンドは精神力が強い者に宿るものなのにこの子は、情緒不安定だったというか、何だか少し違和感を覚えた。
(本当に、この子があの化け物の本体だったの?)
『ようやく足が治ったんだよ。私の願いが叶ったんだ。そのために私は契約したんだ』
『もう、邪魔しないでよ!!』
(“同じ刺青”、“契約”、“願い”。何なんだ……それらを意味するものは?)
そういえば、インディラの頭の中には私の力の一部を収納したDISCとやらが入っているはず。
あれを取り戻せば、私の能力は元に戻るはず。
由来は寝ているインディラのそばにしゃがんで、試しにその頭に触れようとした。
しかし、ある疑問が浮かんだ。
(あれ?そういえば、さっきこちらに向かってきていたインド警官がまだ……)
ダァンッ!!!
「!」
雪に覆われた物静かだった荒野に、銃声が鳴り響いた。
その瞬間、太ももあたりを押された衝撃が走り、その場で倒れて、足元の雪がみるみる赤く滲んだ。
「え……あ?」
視線をゆっくり自分の下半身の方に向けると、太ももに銃弾くらいの大きさの穴が空いていて、そこから流血していた。
気付いた途端に痛みが…
「子供はおしゃべりで扱いづらいな。欲が強いのは良かったが、ダメだ」
見上げたらそこに警官の1人がこちらを見下ろしていた。
(え…何で……)
市民を守る警官が何故ゆえに危害を加え……
しかし、警官の背後にあの化け物スタンドがこべりついているのを見た瞬間、全てを察した。