第7章 敵の的
(まさか……)
この人が“真の本体”……?
インディラは2年前の男と同じ、操られていた被害者だった!
敵は一体、何者なの?
「あーあ、弾なくなっちまった。取り替えるか」
男は足元で倒れているもう1人の警官の拳銃を、自分の空になった拳銃と取り替えた。
(え!あれは……!)
まさか、この男があの人を…!
傷口を凍らせて止血しようにも、スタンドを使う力が残っていない。
撃ち所が悪いせいか立てない。
「もう3度目だからさすがに飲み込んだか。俺が誰だか分かるよな?」
ガチャ
這い蹲っている由来に新しい銃を向け、今度は脇腹を狙った。
ダァンッ!
「ッ…!!」
自分の脚や脇腹から流れ出る血に警官の死体の血、そのにおいが混ざり合い、頭がおかしくなりそうだった。
「そうだ。お前は血のにおいに敏感だったな。スタンドではなく、お前自身の能力。いや、
・・・・・・・・・・・・
染みついた経験による体質というところか?」
「!!」
なんで…そのことを……
由来は脇腹からの出血を手で抑える。
「故郷に帰ってその土地のにおいがすると、昔の記憶を不思議と思い出す現象がある。お前が血のにおいに敏感なのはそれと同じだ。お前は…」
「そんな…下らない話がしたくて……また本体を変えたの?外道」
話を遮られて、警察官は舌打ちをして明らかに不機嫌になった。
「こんな事したくなかったがな」
ドスッ!
警察官は手刀で由来の頭に触れると、そこから最後の一枚のDISCが現れた。
「さらばだ。友よ」
それを奪うと、由来の後ろに構えてあったホワイトシャドウは、完全に消えてしまった。
その頃、空條家では。
SW財団の医師たちがホリィの治療を徹底していたが、なすすべが無く途方に暮れていた。
パキンッ!
「!?」
1人の医師が、ホリィのそばに置いてある水の桶に入っている氷が突然割れて、びっくりした。
そしてみるみる溶けていく。
(鼻緒が切れるみたいに不吉だ……)
そして同じ時間に違う場所では、
パキンッ!
「!」
承太郎はポケットに違和感を覚えて、手を入れた。
(濡れている?)
取り出してみたら、さっき拾った小さな氷の塊が溶けかかっていた。
(氷が、溶けている?)
まさか……!