第7章 敵の的
「君!!それは…!」
昨日は薄着で、そんなもの無かったはず!
「もう、邪魔しないでよ!!」
インディラは涙を浮かべて、化け物スタンドで渾身の力を込めて、首を締めた。
今度は確実に意識を奪うために。
「おい!あそこに誰かいるぞ!」
「!」
(!)
向こうから、騒ぎを聞きつけた警察官2人が走ってきた。
向こうから見えたのは、女子供が雪で覆われた場所で、何だか様子が変だというところだ。
「こんな時に…!」
インディラは第三者が入ってきたことで、由来から視点を変えた。
そのチャンスの瞬間を、由来は逃しはしなかった。
首を締め付けられている今、身動きは取れない。
腕は刺青の呪いの痛みを鈍くするために凍らせて使えない。
なら何が動かせる?それは、
・・
足だ!
由来は首を掴まれて空中に浮いたまま、足を引いてインディラの横腹に思いっきり蹴りを入れた。
しかしインディラは腕を使ってガードをした。
「!」
グサァッ!
しかし由来のミリタリーブーツの足先には、刃が仕込まれていて、インディラの腕をグサリと刺した。
腕を刺されたインディラは反射的に腕を引っ込めて、そしてスタンドも腕の力を弱めた。
それで由来は首の拘束を解くことができ、呼吸を整えた。
「小癪な…!」
インディラは自身の頭に入っているホワイトシャドウのDISCの力を借りて、またデカい氷結を繰り出して身動きを封じ込めようとしたが、それよりも由来がインディラの頭を掴む方が速かった。
「何ッ!?」
由来の腕は凍っていて使えないはず。
解除したとしても、2年も凍らせていたからそうすぐには溶けないはず!いや。今の由来じゃ、そんな体力も残っているかも疑わしい。
そう思っていたが、またも予想を裏切られた。
由来の手には、火をつけたライターが握りしめてあった。
(ら!ライターの火で…!?)
煙草を吸う不良少年ならいつも持ち歩いているが、いつもすみっこにいて規律を重んじる由来がそんな…!
「眠れ…」
この時、インディラは頭を目元ごと掴まれてつつも、由来の体が光っているように僅かに見えた。
そしてその輝きは由来の腕へと伝い、掴んでいるインディラの頭の方へ。