第7章 敵の的
「!」
何だって?
「分かってなさそうだからもう一度言うね。全ては、アナタを捕獲するために仕組んだことなんだよ」
何を、何を言っているのこの子?
この子含めたDIOの死角たちの目的は、金か信仰のためかは知らないけど、そのためにDIOの祈願を果たすこと。
DIOの祈願は、ジョースターの血を根絶やしにすること。
ジョースターさんと承太郎を殺すこと。
その駒として私を付け狙っていただけの話じゃないの?
「……アナタ。私に個人的な恨みがあって、怨恨で本来の目的を見失いかけているんじゃあない?DIOはジョースターを殺すこと以上に望むものなんて無いはず。DIOのためと言っておきながら、本当は自分のためなんじゃあないのかな?」
グッ
「ッ!」
首を締め付ける力が強められ、由来はうめき声を上げた。
「やっぱり、私はお前が由来とは信じがたいよ。誰よりも冷酷で、挑んできた敵を無慈悲に倒し、誰よりも血を好んだ
・・・・
あなた様が」
「?」
インディラは急に、まるで由来のことを元から知っているような口を開いた。
「アナタ、一体何者なの?本当に、由来なの?」
さっきの余裕さから、今度は真剣な表情に変わり問いかけてきた。
「……さあね。私も自分が何者か、分からないよずっと」
今分かるのは、この敵の狙いは、的は、私だってことだ。
今もインディラの背後にいる化け物は、間違いなく2年前に出会った奴だ。
しかしおかしいことに、その時のスタンド使いの男は列車で変死体として発見された。
腕に特徴的な刺青が彫られていた。
やっぱりこの子が本当の本体で、あの男を操っていたのか?
操り人形は用済みになって殺したのか。
そして気がかりなのは、私たちが泊まるはずだったホテルに、同じ特徴を持つ変死体があった。
まさかあの女性も、この子が殺したの?
「……これ以上…邪魔しないでよ」
「何?」
化物スタンドは由来が呼吸できる程度に腕の力を緩めた。
「ようやく足が治ったんだよ。私の願いが叶ったんだ。そのために私は契約したんだ。“ウォンテッド”と」
(ウォンテッド?)
インディラは長袖を捲って腕を見せた。
何とそこには、あの2人の変死体と同じ刺青が彫られていた。