第7章 敵の的
由来は前回のような、相手のペースに飲まれないように、余裕であることを演じた。
もう少し呼吸を整えれば、まだマシに戦うことができる。
「…そんなに質問してほしいなら、1つだけ問う。アナタ、足は治ったの?」
「ああ!これね。もうすっかり治ったよ」
インディラは嬉しそうにピョンピョン跳ねた。
「私の願いが叶って、私はこうしてまたお姉ちゃんと再会できた。もう私はこれ以上望むものなんてないよ」
「?」
由来はその言葉が妙にひっかかった。
足を怪我してたのは演技ならまだしも、嘘をつくには何か違和感がある。
願いが、叶った?
(そのフレーズ、どこかで聞いたことが……)
いや、私がここに来たのは敵と戦うためじゃあない。
血の匂いがしたから、アヴドゥルさんかポルナレフさんが怪我したのかと思ってきたんだ。
でも実際は、敵がおびき寄せるための罠だった。
なら一刻も早くここを立ち去って、アヴドゥルさんたちを探さなくては。
「どうしたの、そんな顔して?2年前の因縁の敵に出会って疼いているのかな?」
「ここにアヴドゥルさんたちがいないなら、今の君には用はないよ。私にはもっとやるべきことがある」
由来は敵に背を向けた。
「あら。戦意はないのは残念。だけどね…」
ドガァンッ!!
「!」
水たまりからでかい氷を作り、由来の行く手を阻んだ。
「今のアナタには用があるのよ」
由来はインディラを睨んだ。
「これで戦意は出たかしら?
・・・・・・・
天才ピアニストさん?」
由来は一息ついてから、ホワイトシャドウを再び出した。
・・・・
(……やっぱり、薄過ぎる)
力を搾り取られた影響か、以前よりもスタンドの像が…
こんな状態じゃ…
「じゃあここからが本題だよ。最後の質問だからよく聞いてね。
・・・・・・・・・
こちらに戻ってくる決心は付いた?」
「!」
敵は由来に2年前と同じ質問を投げかけてきた。
それも、まるで由来が元々DIOの仲間であったかのような。
「どうするの?前回も聞いてると思うけど、DIO様の願いを受け入れれば、スタンドの力は元に戻って、その痛みともおさらばなんだよ」
インディラは由来の両腕を指さした。
「ッ!!」