第7章 敵の的
「…だったら…試してみる?姿を現せよ外道さんよ。そんなに…根暗で私を監視することが楽しい?あの時も…」
息を整えてなんとか正気を保ちながら、どこにいるかも分からない敵に問いかけた。
“そうだね。自分の手の平で人を踊らせるのは楽しいよ。アナタも思ってたじゃん。
「ピアノとか何かを自分の思い通りに動かして、自分の世界を作るのは楽しい」って”
「!!」
由来はその言葉に、よく覚えがあった。
それは昨日、エスニックのレストランで、
・・・・・
ある人物に伝えた言葉だった。
『お姉ちゃんは、どうしてピアノが好きなの?』
『そうだね。きっかけは言えないけど、強いて言うなら、自分の世界を作れるからかな。図工とかレゴとかそんな小さなものでも、芸術は相手に自分の思いを伝える術でもある。自分の世界で相手を魅せることがてきる。音楽もまた同様に、ピアノに限らずどんな楽器でも自分の思い通りに使って、自分の世界を作れる。そんなとこに惹かれたからかな』
この言葉を送ったのは、たった1人の人物。
あのレストランで出会った、片足が悪かった…
ドドドドドドド
由来は後ろの方にある、大きな岩に振り向いた。
そこからひょっこり、
・・・
その子が現れた。
「昨日ぶりだね。お姉ちゃん」
あの時の小さなお客さんが、後ろに化け物スタンドを構えて笑っていた。
「インディラ……」
名前を覚えていてくれて、インディラは嬉しくてさらに笑みを浮かべた。
「昨日の演奏ありがとう。楽しかったよ。じゃあ今日は死んで」
シャウゥンッ!!
「!!」
インディラはスタンドから氷の攻撃を繰り出して、由来はすかさず同じ氷結を出して相殺した。
〈街中〉
承太郎は花京院とジョセフと同様、街中でアヴドゥルを探し回っていた。
(どこにいやがる、アヴドゥル?)
すると道端の地元民の雑談が耳に入った。
「おい!あっちで外国人が妙な喧嘩おっぱじめやがったぜ」
(何…?)
承太郎はその男が指さしているところへ向かおうとしたら、その相方が張り合ってこんなことを話した。
「ああ俺なんか、何か荒野の方で雪が積もってたの見たぜ」
「!!」
ゆき…?!