第7章 敵の的
・・・
「貴様、それをどこで知った?!」
「知ってるさ。私だけでなく、お前を拾ったDIOも。教えてくれたのはお前本人じゃあないか」
敵はどんなトリックを使っているのか。完全に私のことを把握している。
マズい。完全に向こうのペースに持っていかれている。
「何をそんなに躊躇することがある?これは調教ではない。君にとって救いじゃあないか?スタンド使いとは、常に逃れられない悲しみの運命を背負っている。DIOはそんな者達に生き場所を与え続けた。私もまた、彼に救われたこともある。なぜ拒む必要がある?」
「ッ…!」
まるで心の中に入っていくような悪魔の囁き。
私をその悲しみの運命とやらの被害者だと、この男は言っている。
(でも……反論…できない)
なかなか首を縦に振らなく、プッチはじれったくなった。
「それでも迷うのか、由来?哀れな女だ。なら、目を覚ますには時間が必要か。ではこうするか」
!!
もう一方のカーテンの束の死角から、違うスタンドがチラと見えた。
(あれは!あの時の化けも…!)
バチィンッ!
その化け物スタンドがホワイトシャドウの両手首に触れた途端、ホワイトシャドウの両手首が鎖がつながれた。
そして“私”(本体)の両手首には、鎖模様の刺青が現れ……
現在
「グアアァッ!!」
由来は両腕の激痛で、今まで発したことのないくらいの声を上げた。
痛みのあまり、ホワイトシャドウを出して、無差別に周りの荒野一面を凍らせた。
そして、自分の腕も
・・・・・
今まで以上の程度で凍らせた。
「ハァ…ハァ……」
“ほう。凍らせて痛覚を和らげてたか。なるほど。そうやって今まで誤魔化してきたのか”
由来は腕をワザと冷たくすることで感覚をマヒさせて、痛みを抑えてきた。
ダークブルームーン戦で、承太郎に手を差し伸べた時も、彼女が触った蛇口や承太郎が拾ったコーヒーカップの破片が冷たかったのも、それが原因だったのだ。
“フフフ。そんな腕じゃ、まともに戦うことも出来まい”