第7章 敵の的
グォアアアアオ!!!
首を喉ごと掴まれたホワイトシャドウは、敵スタンドの手により、体をもぎ取られた。
「ホワイトシャドウ!!」
敵が掴んでいたのは、ホワイトシャドウそっくりの半透明の姿のものだった。
それはDISCへと吸い込まれていき、私のホワイトシャドウは小さくなった。
「貴、様…何を…!」
頭からDISCのようなものが出てきたのも信じがたかったが、抜き取られた途端、足に力が入らなくなってきた。
膝が床について、再び跪く体勢になった。
「なに。お前の記憶とスタンドをDISCにして回収しただけだ」
記憶…スタンドだと…?
ホワイトシャドウで“あの技”を使うのを試みたが、それよりも先に本能が働いた。
“これ以上使えば、お前は死ぬ”
そして、ホワイトシャドウの能力の一部が使用不可能になったことを、体で直感した。
「苦しいか?辛いか?もし今の言葉を取り消せば、全て返してやろう。もし取り消さないのであれば、お前の寿命は、もって1年というところか」
プッチは数枚のDISCを私に見せびらかせた。
しかし私はそれを、喉から手が出るほど欲しい訳ではなかった。
今目の前にいる敵のスタンドに掴まれた時、手の平から伝わったオーラを感じ取ってすぐに分かった。
コイツは危険だ。そして、コイツを飼い慣らしているDIOも。
たとえコイツの要求に素直に従って、スタンドを返してもらったとしても、操り人形にされる。
きっと、無関係の人間も多く殺す事態に発展する。
現に、私が助け出そうとした一般人の女性も、すでにコイツらの手に渡ってしまっているじゃあないか。
コイツのように、誰かを平気で傷つけるくらいなら、誰かから大切なもの奪うのなら、己のたった1年の寿命を素直に受け入れた方がマシだ。
ナースコールを押して一般人を呼んで巻き込むくらいなら、ここでくたばっても構わない。
それに私は特に、“生”に執着もない。
「その無気力な目にはとても覚えがある。やはりお前のような人間こそが、DIOを欲し、そしてDIOに選ばれるのだ」
「何…?」
「まだ気付かないのか?いや、お前はとっくに気付いているはずだ。お前の周りの世界が、お前からどれだけのものを奪ってきたのか。
・・・・・・・・・・ ・・・・・・・
その手の平の大火傷が、何よりの証拠だ」
「!」